だが、いざ自分ごととなったらどうだろう。「自分の家庭でパートナーが長く不倫していたらどうするか」。この質問に「離婚する」と回答したのは女性35%、男性39%と半数以下にとどまった。

 30代や子どもがいない夫婦の場合は、きっぱり離婚を選択する傾向が強い。だが40代以降や子あり家庭では、経済的不安や子育て問題を理由に様子見も含めた再構築を選択する人が男女とも増える。

 ただし「1度は許すものの、納得できなくて不快な気持ちをぶつけそう」(36歳・女性)「干渉せず放置。離婚はしないが、ただの同居人にする」(54歳・女性)など、不倫で1度、失った信頼を取り戻し、元の夫婦に戻るのは、なかなか厳しいようだ。

 次は、実際にあった3つのケースを不倫に詳しいライターの亀山早苗さんに寄稿してもらった。

夫の不倫で結婚生活を見直した女たち

 夫の不倫が発覚したとき、妻側にはいろいろな選択肢がある。現状維持、別居、離婚……。どんな選択をすれば、その後の幸不幸が決まっていくのだろうか。背景には、それまでの夫婦関係がベースにありそうだが、さまざまな「決断」をした女性たちの声を聞いてみた。

《ケース1》“夫婦”の枠をはずしたら協力しあえた

 付き合っているときから「チャラい男」ではあった、と苦笑するのはマユミさん(仮名=以下同・40歳)だ。29歳のとき、当時付き合っていた3歳年上の男性と「できちゃった婚」をしたが、妊娠中、夫が夜中にこそこそ電話をしたり、帰宅がやたらと遅かったりすることもたびたびあり、彼女は浮気を疑っていた。

「絶対に認めないんですが、一緒に住んでいれば、ああ、また新たな恋をしているなとか、前の彼女にフラレたなとか、わかるんですよ。夫は人として愛嬌があって優しいからモテるんだと思う。だけどそのたびに妻である私は傷つき、疲弊していくんです」

 娘が生まれてからも彼女は仕事を続けたが、実際にはほとんどワンオペ状態。夫は独身時代と同じように週末も友人との付き合いや趣味で出かけていく。仕事に育児に家事にと追われている妻に、「いつもありがとう」とニコッとするのだが、自分自身は何もしないのだ。

「家事も“言ってくれればやるよ”と言うんですが、言ってもやらない。それに業を煮やして私がやってしまうから夫もやらないですむと学習してしまう」

 5年前、そんな夫婦関係の中、夫に2年以上付き合っている女性がいると判明した。長い付き合いであること、彼女が夫より2歳年上であることなどがマユミさんを深く傷つけ、1年間の協議の末に離婚を決断した。

「夫は別れたくないと言い張りましたが、私はそのとき気づいたんです。私は夫から見て“母親”だったんだと。結婚してからほとんどセックスレスだったし、女として見られていなかった。離婚しか選択肢はなかった」

 自分の尊厳を守るための離婚だった。何もかも許してもらえると心の底で思っていた夫にとっては、妻からの離婚の申し出は青天の霹靂だったようだ。

「でも、大正解だったと思います。夫は養育費はきちんと払ってくれているし、娘にもよく会って話している。3人で食事することもあります。離婚して“夫婦”の枠をはずれたら、かえって協力しあえるようになったみたい」

 離婚後、むしろ人として向き合えるようになった。そんな夫婦も少なからずいる。