【5】ほかの信長家臣との仲はどうだったの?  

 関係性を立証する史料はないのですが、信長家臣になるや、ものすごいスピードで出世するので仕事はできたのでしょう。同時に妬まれることもあったかもしれませんね。信長臣下の中で、光秀、秀吉、滝川一益は外様(とざま)なので、前田利家、柴田勝家あたりとは雰囲気が違うといったことはドラマの中で脚色できる。

 光秀は、信長から丹波攻めを任されるわけですが、それをこなしつつもさまざまな方面へ応援を送ります。フットワークが軽いためあいつは頼りになるなという好印象もあったかもしれないただ、上司である信長は、光秀を信用していたのか、放任していたのかはわかりませんが、丹波攻めを単独で任せている。秀吉に対しても同様で、中国方面の制圧を単独で任せています。

 ところが、北陸方面を担当する柴田勝家には、機転がきく前田利家などを部下として配置するなどサポートが手厚い。つまり、光秀と秀吉の待遇が非常に似通っているんですね。このあたり、ドラマでどう描かれるかが見ものですね。

『麒麟がくる』にはこう期待したい!

光秀、信長、秀吉をどう描くか? サポートする家臣団にも期待

 やはり光秀、信長、秀吉をどう描くかでしょう。本能寺の変という一大クライマックスをどのように訪れさせるのか──。それを考慮すると、この三者の関係性はとても大事です。そこに光秀の側近である斎藤利三をはじめとした明智家臣団がどう絡んでくるか。

 1996年の大河ドラマ『秀吉』の際は、光秀を村上弘明さんが演じ、斎藤利三を上條恒彦さんが演じていました。こう聞くと、「あのとき上條さんが演じた役の人か」となる人も多いのではないでしょうか。これまで光秀は脇役ばかりでしたから、なかなか家臣団が描かれることはありませんでした。

 ですが、『麒麟がくる』は光秀が主役。信長にムチャぶりされる中で、それでもデキるビジネスマンとして各方面に当たる光秀を、どのように明智家臣団がサポートしていくのかにも期待したい

 僕は歴史学者だから憶測で語ることはしないけど、大河ドラマは創作です。魅力的で面白い作品になってほしいですね。

(取材・文/我妻アヅ子)


ほんごう・かずと 1960年、東京都生まれ。東京大学文学部・同大学院で日本中世史を学ぶ。日本中世政治史、中世古文書学、中世寺院史などが専門。2012年の大河ドラマ『平清盛』では時代考証を担当。著書多数。近著に『誤解だらけの明智光秀』(マガジンハウス)。