昨年1月、実父から虐待され、わずか10歳で生涯を終えた栗原心愛ちゃん。2月21日から始まった父親の裁判員裁判では狡猾な小男の素顔が浮かび上がってきた。周囲から“普通”と言われた男がなぜ―。

「ママー!! 嫌だー!」「苦しいよ! 死んじゃいそうだよ!」「ウァー!ウァー!」

 法廷には約5秒間、当時10歳で亡くなった栗原心愛ちゃんの悲痛な叫び声が響き渡った。

 あまりのむごたらしい虐待動画に女性裁判員が泣きだすなど、一時休廷する場面もあったが、虐待した父・勇一郎は眉ひとつ動かさずに無表情で一点を見つめていた。

暴力行為は否認

栗原心愛ちゃん

 昨年1月、千葉県野田市で小学4年の娘・栗原心愛ちゃんを虐待の末に死亡させたとして、傷害致死罪などに問われている父・勇一郎(42)の裁判員裁判が2月21日から千葉地裁で始まった。

 初公判の冒頭では、震える手で茶色の封筒からメモを取り出し、涙ながらに反省の弁を述べた。

「事件直後から今日まで娘にしてきたことがしつけを超えていたと反省してきた(中略)成長を楽しみにしていたのに私が将来を奪ってしまった。みーちゃんに謝ることしかできません」

 反省、後悔を述べる一方で心愛ちゃんへの暴力行為は否認。法廷で流された心愛ちゃんへの“虐待動画”にも、裁判で明らかになった凄惨な虐待の数々を読み上げられても表情は崩れない。

 法廷での被告は、白髪まじりの髪を短く丸め、黒いスーツ姿にタオルを握りしめ、入退出の際には裁判官、傍聴席の記者席側に深々と頭を下げていた。

「権力には従順」

 高校時代の同級生は、勇一郎を評したが、法廷での立ち居振る舞いもまさにそうだった。