カラオケや立食パーティー、コンサートやイベントなど密室空間における飛沫感染は、その場に行かないことによって防げる。前述の接触感染については、厚生労働省のホームページに対処法が記載されている。

コロナウイルスはアルコール消毒などで感染力を失うことが知られています》

元気なのに体内にウイルスがいる人も感染源に

 発症したときの症状を、改めて高山医師に尋ねた。

「2つのパターンに分けられます。1つは、風邪の症状が1週間ぐらい続いて、そのまま軽快するもの。この経過をたどる人が大半です。新型コロナといっても風邪の一種です。ただ普通の風邪は2、3日で治りますが、新型コロナの場合は長引くのが特徴です。

 風邪の症状が1週間ぐらい続いて、倦怠感と息苦しさが出てくるパターンもあります。身体のむくみや下痢が重なる人もいるようです。高齢者や基礎疾患のある方がこの経過をたどることが多いのですが、健康な壮年層にも見られることがあります。国内感染のうち少なくとも20代の重症者が2例出たことは無視できない数字です。重症化する事例がどれくらい出るかは今後、分析が必要だと思います

 通常の風邪と大きく違う点は、発熱などの症状がなく発病していないが感染している無症状の人がいること。健康な人と変わらず、本人も自覚症状はないため、検査も受けない。そのため実数は不明だ。

「問題は、元気なのに体内にウイルスがいる人です。この人も感染源になりうるんです」

 と、加來教授は警鐘を鳴らす。

コロナウイルス感染症のなかで、症状が出ている人は2割で、無症状の人が8割いるとみられています。この無症状の人の咽頭にはウイルスがいるので、例えば熱気ムンムンのライブハウスでは元気であればあるほど唾が飛び散りますし、カラオケボックスではマイクを介してウイルスがほかの人にうつるばかりか、そこで飲食も行われます。

 政府の専門家会議では、特に若い人こそがウイルスを広げてしまうことが指摘されました。ですから外出自粛をお願いしているわけです」

 ウイルスの感染力を示す目安に、ROという概念がある。1人の感染者が何人に感染させるかを示す数字で、新型コロナウイルスの日本におけるROは、これまでの患者の発生状況から1・4~2・5と推測されている。なかには1人で多人数に感染させてしまうスーパースプレッダーという存在もいる。

「彼らが一定数いると、平均値としてのROが引き上げられてしまいます」(高山医師)