社会保障の上手な使い方

 年金保険料や健康保険料、介護保険料などの社会保険は、年収500万円(40歳以上)の会社員なら年間約70万円以上を支払っているはず。しかも会社も同額を支払う(労使折半)ので、合計で年間約140万円! せっかく多額を納めているのだから、イザというときは公的保障をフル活用すべし!

■健康保険

「病気になったら多額のお金が必要になる……と不安になりがちですが、日本ではみなさんが想像するほどお金がかかりません」

 例えば、入院して月に100万円の医療費がかかったとすると、自己負担は3割の月30万円。けれど普通の収入(年収約370万円~約770万円)の人なら、“高額療養費制度”を利用することで、21万円が支給され、実際の支払いは約9万円に。さらに70歳を越えた高齢者(年収約156万円~約370万円)なら5万7600円!

「加えて世帯合算も可能です。例えば夫婦ともに75歳以上なら、“後期高齢者医療制度”にも加入していることになるので、どんなに高い治療をしても、公的保障での治療なら2人あわせて月5万7600円ですむんです」

実はほとんどの病気をカバーできる健康保険 イラスト/赤松かおり
実はほとんどの病気をカバーできる健康保険 イラスト/赤松かおり
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 不安の種である老後の医療費は、夫婦で200万円程度あれば足りることが多いのではないだろうか。

 また気になるのが先進医療。公的保障ではその医療費は保険給付の対象外だが、実際のところ、がん患者の9割以上は健康保険で治療をし、克服している人が多い。

「先進医療とは、優れた高度な治療というより、新しくて評価が定まっていない治療。評価が定まれば、以前は対象外だった、がん特効薬の“オプジーボ”や手術ロボット“ダヴィンチ”などと同様に、健康保険の対象になることもあります」

 そして病気で働けなくなったとしても、会社員や公務員なら、“傷病手当”として給料の3分の2が最長1年半支給されるのだ。