■公的年金

 国民年金や厚生年金などは、老後資金となるほかに、年金加入者が亡くなったときに、残された家族に支給される“遺族年金”というものがある。

 夫がサラリーマンや公務員で、妻は専業主婦で幼い子どもがいる場合、夫が他界したら、子どもが18歳になるまで、月々15万円前後が支払われる(自営業者の場合は約10万円)。

老後のお金だけじゃない!公的年金 イラスト/赤松かおり
老後のお金だけじゃない!公的年金 イラスト/赤松かおり
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 加えて専業主婦の妻が他界した場合でも、幼い子どもがいれば、遺族年金が支払われる。残された夫はそのお金でベビーシッターを雇うことができるのだ。

「生命保険の死亡保障を考える際、遺族年金の支給額も頭に入れておくと、過度な保険に入らずにすみます」

 またケガや身体的・精神的な障害を負った人は、“障害基礎年金”の対象者と認められれば、“障害年金”が支給される。障害基礎年金1級に認定され、子どもが2人いる場合だと、障害が解消されるまで月約12万円が支給されるのだ。うつ病などの精神障害も対象となっている。

■介護保険

 将来を考えるうえで最大の不安ともいえるのが介護費用。相当な金額がかかると思われがちだが、実際に介護の経験がある人に質問すると、1人500万円ほどという回答も。

「65歳以上になり、介護の必要が出てきた場合、費用は基本的には1割負担、年収160万円以上の人で2~3割負担となります」

 支給額は介護のレベルが高くなるにしたがって上がる。寝たきりの要介護5の場合、月約36万円のサービスが1割負担なら3万6000円ですむことに。2割負担なら7万2130円となるが、“高額介護サービス費制度”というものもあり、これを利用すれば、高収入の人でも月額の上限は4万4400円。

 さらに、世帯内で1年間にかかった医療費と介護費を軽減する“高額介護合算療養費制度”も見逃せない。

 例えば、自分の医療費が年間48万円、扶養している母の介護サービス費が年間44万円、合わせて92万円かかった場合、自己負担は67万円となり、自治体に申請すれば25万円が戻ってくる。75歳以上の家庭だと、さらに負担上限額が低くなるのだ。