'15年に芸能界を引退した喜多嶋舞(47)。その活動の最後に見せつけた“悪妻”ぶりを覚えている人は少なくないだろう。

DNAの再鑑定を行い身の潔白を証明したい

 彼女はかつてグループサウンズで実績を残した喜多嶋修と、美少女アイドルとして人気を博した内藤洋子を親に持ち、2世タレントとしてそこそこ活躍。ドラマ『ワイルドで行こう!』で共演した大沢樹生と'96年にできちゃった婚をしてからは、家庭中心の生活を送っていた。

 その後、'05年に離婚。'07年に別の一般男性とできちゃった再婚をする。この再婚を機に、第1子である長男の親権は大沢に移った。しかし、'13年末、その長男をめぐって前代未聞のスキャンダルが起きてしまうのだ。

 自分の子ではないのではと疑いを持っていた大沢がDNA鑑定を敢行。「父子確率は0%」だったことから「親子関係の不存在」の確認を求める調停を東京家裁に申し立てていたことが判明した。メディアは騒然となり“本当の父親”として奥田瑛二や石田純一らの名が取りざたされたものだ。

 が、喜多嶋はあくまで大沢との子であると反論。息子に『女性自身』のインタビューを受けさせて、否定させ、彼女の父も「すべて大沢のでっちあげ」だと主張した。そんな彼女の姿勢は、'15年11月に家裁が大沢の言い分を認めてからも変わらず『婦人公論』で再反論。「今回の裁判でどんな判決が下されようと、息子の父親は大沢さんに間違いありません」としたうえで、

「こうなった以上、私は再鑑定を行い身の潔白を証明したい。混乱している息子が成人し、社会人としてひとり立ちしたら」

 と、宣言した。ただし、このインタビューを機に彼女は引退したため、世間の関心はうすれ、再鑑定の話も伝わってきてはいない。かわりに聞こえてきたのは、昨年、成人した息子(当時22歳)が同居女性へのDVで逮捕されたという、残念なニュースだ。

 ところで、喜多嶋といえば、かつてインタビューしたことを思い出す。当時は10代半ばで、歌手デビューしたばかりだったが、新人らしい可愛げがなく、こちらを下に見ているようでもあり、帰国子女だからとか人見知りなのではといった理由とは異質の“冷たさ”を感じた。同席した編集者は、彼女が帰ったあと「なんか、おっかなかったですね」とつぶやき、激しく同意したものだ。

 実は、'80年代から'90年代前半にかけて、3ケタものアイドルを取材したなかで、そういう“怖い”印象を抱いた相手がもうひとりいて、それは守谷香。こちらはインタビュー中に「死にたい」と漏らすような、今でいうメンヘラ系だった。その後、Toshi(X JAPAN)と結婚(のち離婚)して、洗脳騒動に巻き込んだことで、やはり「悪妻」と呼ばれることになる人だ。

 ちなみに、大沢が喜多嶋と送った結婚生活は9年間。自分などはたった1、2時間でも怖かったのに、よく耐えられたものだと同情してしまう。個人的に、彼女は「怖い悪妻」の代表格である。

(文/宝泉薫)


宝泉薫 ◎アイドル、2次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)