『龍馬伝』の名演技が引き寄せた『るろうに剣心』主演

 同年、『野ブタ。をプロデュース』で知られる木皿泉が脚本を担当した学園ドラマ『Q10(キュート)』で連ドラ初主演を飾る。前出の田幸さんは、この作品で演じた“普通の青年”こそが、佐藤の真骨頂だと続ける。

「映画『億男』の借金返済のために二重生活を送る図書館の司書役など、実はニュートラルな演技がとてもうまい。全体を見て引いて演じることは、簡単そうでなかなかできることではありません」

 ’12年には映画監督の大友啓史が初めてメガホンをとった『るろうに剣心』の主演に起用。今夏には最終章2部作が公開されるなど、彼の代表作になっている。

’12年公開の映画『るろうに剣心』完成披露試写会のときには、すでに大人の魅力が
’12年公開の映画『るろうに剣心』完成披露試写会のときには、すでに大人の魅力が
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「『龍馬伝』で演出を担当していた大友氏が佐藤さんの演技を見て“心優しい青年が大切な人を守るために人斬りに変わる……”という二面性を持つ主人公の剣心を演じられるのは彼しかいないと熱烈オファーをして実現したんです」(映画配給会社関係者)

 演技力の高さは、人への関心の強さから来ているようだ。

「打ち合わせなどでも、あの大きな瞳で見つめながらしゃべるので、若い女性スタッフなんかは即ヤラれちゃいます(笑)。それはひとつひとつの仕事に対して自分が求められていることを理解して完璧に応えたいから。また人への関心が高く、スタッフへの逆インタビューみたいになることも。そんな観察力などが演技にも反映されているのでは」(ドラマ制作スタッフ)

『るろうに剣心』のヒットで人気クリエイターたちからのオファーが続き“イケメン若手俳優”から“実力派俳優”へと成長していくことになる(次号・後編へ続く)。