また、酪酸は、アレルギーや自己免疫疾患を引き起こす“免疫の暴走”を抑える『制御性T細胞』を増やすことがわかっています。さらに、「糖尿病や肥満の人の腸では酪酸菌が減っている」という海外からの報告もあります。酪酸菌は、私たちの健康に寄与する“新たな善玉菌”と言うことができるでしょう。ちなみに、酪酸を口から摂取しても、大腸に行く前に吸収されてしまうので、大腸の中で酪酸菌に酪酸を作ってもらうことが大事です。

長寿の秘訣は『水溶性食物繊維』にアリ!

 では、なぜ京丹後の市民に酪酸菌が多かったのか。京丹後地域における食生活をNHKのテレビ番組『ガッテン!』と共同で調べたところ、京都市の人々と比べて明らかに、ひじきやわかめなどの海藻類をたくさん食べていることがわかりました。また、玄米などの全粒穀物や大豆なども比較的多く食していました

 これらの食材に豊富なのは、『水溶性食物繊維』。実は、水溶性食物繊維が酪酸菌の“エサ”なのです。

 加えて、京丹後の方々は油ものの摂取が少ないという特徴も。日本人を対象とした研究で、「高脂肪の摂取は悪玉菌を増やす」という解析結果もあります。

 酪酸菌の“エサ”である水溶性食物繊維を積極的に食べることと、油ものを控えた食習慣が、京丹後に住む人々の腸内細菌にプラスの影響を与え、長寿につながっている可能性があるのではないかと考えています。

『NHKガッテン!』2020年5-6月号の特集「腸内細菌パワーが目覚める『賢い食べ方』」で紹介している「腸内細菌パワーが目覚める『食べ方シート』」。水溶性食物繊維の他にも、腸内細菌を元気にするレジスタントスターチやオリゴ糖を含む食材や、発酵食品なども紹介しています
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(隔月刊誌『NHKガッテン!』2020年5-6月号/巻頭特集「腸内細菌パワーが目覚める『賢い食べ方』」より)


【PROFILE】
内藤裕二さん ◎京都府立医科大学消化器内科学教室准教授。日本消化器病学会学会評議員。

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