心のきれいな人は、ああいう天真爛漫な妻を愛しているからだと言うでしょう。しかし、私に言わせると、これが「ものすごく空気を読まない人の破壊力」だと思うのです。

安倍首相が妻をかばうしかない理由

 想像してみてください。職場の若手が「空気を読まない人」だったとします。こういう人の先輩や上司は、いろいろ言ってわからせようとするでしょう。たいていの場合は指導が功を奏すのですが、「ものすごい空気を読まない人」の場合、何も変わらない可能性があります。そうすると、先輩や上司の指導能力や監督責任が問われますから、かえって「ものすごい空気を読まない人」をフォローしようと気を使うようになっていくでしょう。その結果、「ものすごい空気を読まない人」は仕事ができないのに、権力化・聖域化していくのです。

 また、こういう人がときどき「空気を読んだ」行動を取ると、周囲は早く一人前になってほしい気持ちから必要以上に「やればできるじゃないか」と誉めたたえます。なので、「ものすごい空気を読まない人」のそばにいると、真面目にコツコツやる人が損をしてしまうのです。これは家庭においても同じことで、「妻も監督できないのか」とか「なぜそんな常識のないオンナと結婚したんだ」という批判を避けるためには、安倍首相はアッキーをかばうしかないのだと思うのです。

 アッキーと言えば、「願えばかなう、引き寄せる」などのスピリチュアル好きで有名です。個人の信条ですから、他人が口を挟むことはできませんが、総理夫人という立場とスピリチュアルは食い合わせが悪いのではないでしょうか。「願えばかなう」と信じる総理夫人のために、周囲が忖度して骨を折ることは目に見えているからです。アッキーが自然科学や経済などの一般常識を持たないまま、スピリチュアルに傾倒するほど、権力が乱用されて独裁化する可能性は高まるでしょう。

 アッキーがヤバいことは言うまでもありませんが、もっと悪質でヤバいのは、アッキーのご友人ではないでしょうか。

 バレたらアッキーが叩かれることはわかっているのに、なぜ内緒の花見で写真を撮ったり、交友関係を週刊誌に告白するのでしょうか? そうするのは、「自分は総理夫人と親しい」と周囲に知らしめるための“証拠”集めのためではないでしょうか? アッキーの友達というより、総理夫人という「ブランド目当て」のように感じられます。

 権力という名の甘い汁を吸うために、アッキーとのつながりをテレビやネットで公言する人は、アッキーを加速させる「ヤバイ人」だと私は思います。私たちはそういう人の名前と顔を、よく覚えておくべきかもしれません。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」