星野源が外出自粛の要請にともない、4月3日発表した自作曲の動画『うちで踊ろう』。この動画は、許諾なしで自由に使用できる“フリー素材”的にSNS上などで活用され、三浦大知や石田ゆり子、渡辺直美、モーニング娘。'20など、アーティストや俳優、タレント、さらに一般人も、動画に合わせてコーラスしたり楽器を演奏したり、ダンスを踊ったりなど、さまざまな趣向を凝らしたコラボ動画が作成・投稿された。コロナ禍の中〈#StayHome〉の意識づけという意味も含め、大きな盛り上がりをみせた。

安倍さんのせいで“恥ずかしいもの”に

 そんな流れを大きく変えたのが、安倍晋三首相が自宅でお茶を飲み、愛犬とたわむれるコラボ動画の投稿だ。「家で過ごす」という方針に沿ったものであるものの、その様子が優雅に見えてしまったことで、批判が集中することになった。

 さらに、コラボ素材の星野源に対しても、政治利用した、されたといった意見が及ぶことになり、星野源は自身のSNSで、《僕自身にも所属事務所にも事前連絡や確認は、事後も含めて一切ありません》と説明することになった。

「見る側も参加する側も楽しんでいたコラボ動画が、安倍首相の投稿をきっかけに、コラボすることがちょっと“恥ずかしいもの”みたいな雰囲気になってしまいました。事実、コラボ投稿は、一時期ガクンと減りましたから」

 と、ある夕刊紙記者は言う。

「そのあとの“アベノマスク”騒動もそうですが、新型コロナウイルスに関する政府への不信感は強く、せっかく楽しんでいたものに水をさされた、さらには星野源さんまでが誤解によって勝手に幻滅されたりなど巻き込まれてしまいました」

 5月1日放送の『ミュージックステーション』に出演した星野は、「日常っていうものの感覚だったりとか、楽しい、面白いっていう感覚とか、そういうのを忘れないようにしたい」と、この曲に込めた思いをあらためて語った。