芸能界では長く大手事務所に所属していたが、2018年1月に独立。2015年に立ち上げた個人事務所『株式会社明後日』の代表取締役として、舞台や音楽ライブの製作に取り組んでいる。妻帯者の俳優との交際を公言したこともあったが、逆風には見舞われなかった。

発信することが自分の役目

「テレビドラマやCMで金を稼ぐ世界に固執せず、今回の新型コロナウイルスでも被害を受けている演劇界に軸足を移したことで、彼女は自由な発言権を手に入れた。

 小泉が、自分の発言の影響力をよくわかった瞬間があるんです。もう20年近く前になりますが、朝日新聞のインタビューで、ミヒャエル・エンデの『モモ』という本を勧めたことがあったんです。その直後、書店のベストセラーランキングを急上昇した。本人もびっくりしていましたね。今回の発言も、自分をわかってくれる人には受け入れてもらえる、自分のファンに自分の思いを伝えるのが自分の役目、という思いがあったと思いますよ」(前出・スポーツ紙OB記者)

 アイドルを卒業し、女優としても実績を積み、長い間ファン並びにファンのような存在に支えられてきた小泉に、いまさらファン同士が激論するかどうかなどどうでもいい。彼女と同時代を生きたファンの大半は、今ではすっかりおじさん・おばさんだ。無駄にエネルギーは浪費しない。

 ファン離れを気にするきゃりーぱみゅぱみゅとは、そこが大きな違いなのである。

 政治的であろうがなかろうが、どんなヤバイ発言であろうがなかろうが、一度、発した以上、どんな反響があっても動じない度胸が小泉にはあったということだ。

<取材・文/薮入うらら>