提供方法は自然な性行為で

 男性には健康であることを事前に検査し、面談時に検査項目などを女性に確認してもらっているが、

「サイトとしては、掲載されている以上の情報は保持していません。登録者がウソをつくことも可能ですが、結局、面談で女性に直接確認をしていただいていますね」(前出・運営者)

精子ドナー紹介サイトでは記載された学歴や職業などを女性が見て提供者を選ぶ
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 ネットで公開された内容を信じて、女性は精子の所有者をえり分ける。A子さんの精子を探す取り組みも、そんなふうに始まったのだが……。

「絶対に精子提供を受けたいというよりは、条件の合う人がいたらな、くらいの気持ちで、サイトではなくSNSを通じて、5人ぐらいの方に会いました。なかなか条件に合う人は見つからず、話は進みませんでした」

 諦めかけていたところで出会ったのが、B氏だった。

「主人と容姿が似ていて、主人の卒業した大学と同じくらいの学歴で、奥さんや恋人がいないことなどが条件でした。B氏は主人と容姿の特徴が似通っていて、金融会社で働く京都大学卒という男性でした。本当に奇跡だな、と。でもその人が、結果的に私をだましたんです

 ここでひと呼吸おき、A子さんが続ける。

日本人だと思っていたら、中国人でした。10年以上、日本で暮らしているので、日本語はペラペラでしたけど。奥さんがいることも後でわかりました。京都大学卒というのも大ウソ。それでも信用してしまったのは、感じのいい人だったこと、名前は伏せつつも社員証を見せられたのも大きかった。ネットでの精子提供では、あまりお互いの名前を明かさないことが多いのですが、彼は下の名前だけ教えてくれました。日本人の名前だと思いきや、後から中国人の名字だとわかったんです」

 とはいえ、それは後の祭り。A子さんはB氏の言い分をすべて鵜呑みにしていた。

 精子の提供は、'19年4月から始まったという。A子さんが振り返り、詳細を明かす。

「6月に妊娠がわかるまで、週に2、3回だったと思います。私の要望で、精子提供は自然な性交渉を通じてお願いしました。毎回通っていたホテル代として総額15万円くらいは私が支払いました」

 人工授精のやり方には『シリンジ法』と呼ばれる、精子を注射器のようなもので吸い膣の中に注入する方法もある。しかしA子さんが選択したのは浮気、不倫という言葉がつきまとう婚外性行為で、ためらうことはなかったという。

 前出・宮崎医師は、

「精子の提供者と性交渉を行う危険性としては性感染症のリスク、夫婦間以外で性交渉をすることによる夫婦関係への悪影響などが考えられます」

 と危うさを指摘するが、夫に知られていないA子さんに葛藤はなかったのだろうか。B氏からは口頭で、性病歴、精神病の罹患歴、家系全体の遺伝病などがないことを伝えられていた。