コンビニはもう「全国一律」ではない

【(16)SNSでバズった商品だからといって、絶対売れるとは限らない!】

 昔はテレビなどのメディアを使って商品を宣伝できたのですが、テレビを見る人が減ってその方法論は通用しなくなりました。逆に、SNSで話題になった商品はどうかというと、かなり諸刃の剣なんです。

 売り上げが急に10倍になったりすることもあるのですが、それはそれで対応がしにくい。SNSでの拡散を期待して在庫を抱え、結果的にバズらなければ大損です。また、もしも何かトラブルがあったら途端にバッシングが起き、世間は一斉に手を引きます。突発的に評価が上下してしまうのでSNSの効果は怖いんです。

【(17)衝撃!! コンビニの万引きの9割は従業員の仕業!?】

 コンビニの商品ロス(売り上げ記録がないのに在庫がない)の9割は従業員に原因があると言われています。とはいえ、すべてが盗難というわけではなく、合計100万円の商品がなくなったら、90万円のうち、10万~20万円は伝票が間違っているなどの管理ミス。残りは破損の未申告と、内部不正の可能性が高いです。そのため、従業員の控室にも防犯カメラが数台取りつけられています。

【(18)コンドームがよく売れる店舗とその理由】

 コンビニで最もコンドームが売れるのは、某大手テーマパーク近くの店舗なんです。なぜかというと、初めて付き合った男女が最初のお泊まりデートに某大手テーマパークを選ぶケースが多いから。でも、コンドームを持っていくと「初めからそのつもりだったの?」と言われかねません。初めて同士なので牽制し合うんです。で、いざというときになって近くのコンビニでコンドームを購入する……。私はそう推理しています(笑)。

【(19)可愛い子やイケメンの店員がいると売り上げは上がる】

 店員に可愛い女の子やイケメンが入ると店の売り上げは上がります。実際、関東の某所には、地域密着のご当地アイドルで引退した子を夕方のシフトに入れ、売り上げを伸ばしているコンビニがあります。また、ご当地のスポーツチームの本拠地から近い店には、選手たちが訪れたりグッズを売っていたりすることもあり、活気づいている店が多いものです。ファンにも店側にとってもメリットですよね。

【(20)今後はコンビニの各店舗に“個性”ができていく】

 コンビニといえば、これまでは全国各地どこでも一律というのが売りでした。でも、これからは企業が社員に副業を推奨する社会へ変わっていくでしょう。つまり、複数の収入源がないと暮らしていけない時代です。大手のコンビニも各店が個性を持つようになっていくと思います。実際、ドラッグストアやカラオケ店など、他業種の店舗と合併している店舗などが増えてきていますよね。

 そういう意味で、山崎製パンと契約する小売店「Yショップ」は注目です。オーナーの裁量による店舗の独自性が強く、24時間営業は課せられず、定休日もある。オリジナルメニューや商品など、店の特徴や趣向に惹かれたお客が集まる。レコード店やイベントスペースを兼ねている店もあるほどです。

『コンビニが日本から消えたなら』(ベストセラーズ刊 税込み1650円)著=渡辺広明 ※記事中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
【写真】コンビニの時短営業実証実験の終わりを伝える貼り紙

【著者プロフィール】
渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
コンビニジャーナリスト、マーケティングアナリスト。ローソンにて店長、スーパーバイヤーとして22年勤務。約730品の商品開発にも携わる。フジテレビ『Live News α』など各メディアで活躍中。

 (取材・文/寺西ジャジューカ)