いまやプロレス会場の半分は女性の時代。最近は新型コロナウイルスの影響で、無観客試合を行っている一部の団体を除き、ほとんどの団体が興行を行えていないが、それまでは幅広い世代の女性たちが会場に訪れていたものだった。しかも、技の種類から選手同士の関係性まで熟知する、「にわか」と言い切れない熱心な層が大半だという。K-POPのアーティストのように、母と娘で会場やファンイベントに参加する女性たちも珍しくない。

女性人気の秘密は
“イケメン”だけが理由じゃない!!

 近年、ここまで女性たちが心おきなくプロレスを楽しむようになったのには、どんな要因が考えられるのだろうか。

自己プロデュース能力の向上に力を注ぎ、従来のファンだけを大切にするのではなく、新たなファンの獲得も目的として活動する選手が増えたからなのではないでしょうか

 こう分析するのはあるベテランのスポーツ紙記者だ。

「5、6年ほど前、新日本プロレスの棚橋弘至選手やオカダ・カズチカ選手らが注目を浴び出して『プロレスファンの女性が急増している』という話題が席巻していたころ、『ルックスのいい、イケメンレスラーが増えたから』という見解が多かったものですが、そんな簡単な理由だけではないのではないかと違和感を覚えていたものです。

 なぜなら、以前からイケメン、もといハンサムなレスラーはたくさん存在していました。実際、若いころの武藤敬司選手や船木誠勝選手は俳優として通じるほどの端正な顔立ちであり、決して今のイケメンレスラーに劣るとは思えません。

 とはいえ、以前のプロレスラーといえば、“無骨さ”がもてはやされたもの。そんな選手たちの無骨さに自分を投影した男性たちが熱狂する――、というのがプロレスの人気の一因でもあった。ただそれが、プロレスというジャンルの閉塞化にもつながってしまった」