新型コロナウイルスの影響はさまざまな分野で広がっている。人々が集まり、長時間過ごすことの多い葬儀の現場も例外ではない。

コロナ禍では小型の葬儀が標準

 終活関連サービスを提供する『鎌倉新書』の調査によれば、コロナの影響で約9割の葬儀社が「参列者が減った」、「今後、減少していく」と回答している。

「参列者が少なく、小さな斎場で祭壇も簡略化する“葬儀の小型化”は以前より続いてはいましたが、コロナ禍では標準的な葬儀が小型です」

 こう語るのは、葬送ジャーナリストの碑文谷創さんだ。

 葬儀は時代を反映する。碑文谷さんによれば、参列者の数、費用ともに規模が大きかったのは、バブル景気が終焉を迎えようとしていた1991年ごろ。しかしバブルがはじけ、’95年の阪神・淡路大震災、2008年のリーマンショックなどが追い打ちをかけると、葬儀の小型化は急速に進んだ。

「バブル期には一般家庭が行う葬儀の参列者は平均280名程度でしたが、ここ数年は東京で30~40名、地方でも50~60名程度にまで激減していました。さらにコロナによって、東京では平均5~10名に減り、家族葬ですませるのがほとんど。全国平均でも参列者は20名以下にまで減っています」(碑文谷さん)

 各葬儀社では、マスクの着用、アルコール消毒や手洗いの徹底などで感染防止に力を注ぐものの、コロナ禍での葬儀に不安は尽きない。

《お別れをしたい気持ちもありつつ、大勢の人が集まる場所に行くことが不安》

《妊婦のため参列に悩んだ》

 前出・鎌倉新書の調査には、そうした参列者の声が寄せられている。

「法事の数自体が少なくなっていますし、通夜や葬儀をせず火葬のみ行う“直葬”も増えています。通夜をしても、弔問客に酒食をふるまう“通夜ぶるまい”をやめて、持ち帰り用のお弁当を渡すことも多いです」(碑文谷さん)