いつ仕事を失うか、極度の不安に襲われる

 4月といえば、内臓に疾患を抱えていたり、身体にがんを患っていたりする人がコロナに感染した場合、それ以外の人に比べ、重症化しやすいというニュースが報じられた時期です。

 5月まで会社から在宅勤務を命じられ、リモートワークに励んでいた愛里さんも6月以降は出社を認められ、電車通勤を再開したのですが、「感染経路が不明」の感染者は日に日に増えるばかり。

「もし、父、母に感染させたら……取り返しがつきません!」

 そのため、愛里さんは帰宅すると手を洗い、うがいをし、衣服をはたくだけでなく、在宅中もマスクを着用するなど窮屈な生活を強いられたのです。愛里さんは神経質にならざるをえませんでしたが、そんなふうに戦々恐々とする日々を送っていたのです。

「私だって、いつどうなるかわからないんです!」

 愛里さんは不安そうに言いますが、彼女の職業はスポーツクラブの本部で働く派遣社員。かろうじて3月末までの契約を更新されたものの、一寸先は闇。事実、愛里さんの勤務先の業績は急激に悪化していました。緊急事態宣言による自粛要請で各クラブは営業できず、宣言が解除されてクラブが再開しても感染を恐れ、退会する会員が続出。先が見えないコロナ不況下で愛里さんも次回の派遣契約を更新してもらえる保証はありません。いつ仕事を失い、収入が途絶えてもおかしくはないという極度の不安と隣り合わせでした。

 精神的にも身体的にも追い詰められた中、出会ったのが長尾俊太だったのです。

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(後編は8月16日22時00分に公開します)


露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
1980年12月24日生まれ。國學院大學法学部卒。行政書士、ファイナンシャルプランナー。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化して、行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界で最大規模に成長させる。新聞やウェブメディアで執筆多数。著書に『男の離婚ケイカク クソ嫁からは逃げたもん勝ち なる早で! ! ! ! ! 慰謝料・親権・養育費・財産分与・不倫・調停』(主婦と生活社)など。
公式サイト http://www.tuyuki-office.jp/