荒れていた“小悪党”時代

 何が人生を狂わせたのか。

 地元・阿久比町で左官業を営む厳格な父親と、穏やかな母親のあいだに次男として生まれた。母親のそばを離れない甘ったれだったという。

「地元の小学校に通っていたころはまだかわいかった。そのうち、やんちゃな兄(長男)に憧れたのか、次第に不良になっていった」

 と一家を知る男性。

 中学では野球部で活躍。しかし、反抗期もあってか、やたらと教師に歯向かったり、同級生とささいなことでケンカするようになった。

「マウントを取る(優位に立つ)か、取られるか、といったくだらない理由で男子生徒と取っ組み合っていましたね。小柄でお猿さんみたいだったけれども、運動神経だけはよかったんです。粗暴でケンカっ早いので教師からは目をつけられ、地元の暴走族にも入っていたはずです」(同級生の男性)

 別の同級生は、さげすんだように言う。

「いわゆる“小悪党”ですよ。どんなに偉ぶってもボスにはなれないタイプ。カッコつけても女子生徒からはモテなかったし、成績もめちゃくちゃ悪かった。いつか、どこかで、こうなる(再三の逮捕)ような気もしていた」

 頭髪は丸刈り。卒業文集には「青春」と題して次のような文章を綴っている。

《何度も期待を裏切られるかもしれない。自分は正しいと信じていてもあたりを見わたせばひとりぼっちかもしれない。それでも胸に秘めた夢に向かって歩み続けられるだろうか。時はまるで河が確実に海へ注ぎ込むように容赦なく過ぎ去っていく。そんな時にどこへ救いを求めればよいのだろう》(原文ママ)

自分に酔っているような書きぶりだ(中学の卒業文集より)
【写真】自己陶酔が激しすぎる、容疑者の卒業文集の全文

 卒業後を《未知の世界》と表現して不安を述べているのだが、中学生にしては自己陶酔が激しい。ほかの同級生が修学旅行の思い出などを素直に振り返っているのと比べると、自己愛の強さを感じる。

 中学を卒業すると、高校には進まず、兄と同じく父親の会社で左官業として働くように。髪の毛は金髪に染めた。しかし、背中を追い続けた兄が不慮の事故で急逝する。

「会社の慰安旅行のさなか、酒を飲んで風呂に入って亡くなったんです。父親も、西山容疑者も一緒に旅行していたからショックは大きかったはず。ただ、それは人の道を踏みはずしていい理由にはなりません。奥さんがいたころから、抵抗する女性にそういう犯行を繰り返していたわけだから“病気”でしょう」(前出・近所の男性)

 12年前の犯行前後に父親は亡くなった。西山容疑者は派遣社員として働きながら、「相変わらず金髪だけど、家のゴミ出しをするようになった」(知人)と、母ひとり、子ひとりの生活を送っていた。

 自宅に残された母親を訪ねたが、何度呼びかけても返事はなかった。警察は余罪を慎重に調べている。