すべてをお店の責任とするのは違うのでは

 しかし、飲食店にだけ批判の矛先が向けられることには疑問がある、とこう続ける。

「一般の方が知っているのかわかりませんが、OLが知らない男性と食事をしてお小遣いをもらう“ギャラ飲み”ですとか、銀座ならナンパ通りと言われているコリドー街で、サラリーマンが女性に声をかけて食事をしていることも問題ではないでしょうか。

 “ギャラ飲み”なんて、女性が1日に何組も掛け持ちして居酒屋などでお食事しているじゃないですか。そういうところでコロナが広まっているのが実は多い、という話がありまして。お店でコロナ対策をいろいろ考えてやっているのに、それでも飲み屋さんが悪いと言われるのは、ちょっと違うかなという気持ちがありますね」

2018年にオープンしたクラブ『Nanae』。外装も内装もゴージャスで、3階建てのすべてのフロアがお店になっている
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【写真】ゴージャスな店内に負けない華やかな美しさの菜々江ママ

 また、個人事業主に対する持続化給付金がホステスにも払われることに対し、批判の声が集まった。『ダウンタウン』の松本人志も、「普段の(ホステスが)もらっている給料をわれわれの税金では払いたくない」という発言をして物議を呼んだ。

ホステスさんの収入は確かに多く見えますが、そこから出ていく経費もすごく多いんです。毎日のお着物、髪の毛のセット、深夜になればタクシーでの帰宅──。そういったことは、全部自分のお給料から出るので、すべて領収書をもらい個人事業主として確定申告している子が、特に銀座はすごく多いんです。

 うちにはいませんけど、申告しないで所得を隠して税金を納めてこなかった子は、今回、給付金はもらえません。たくさん稼いで、税金も払っていないのに給付金をもらうなと言われるのはそのとおりだと思いますが、きちんと申告して税金を払っているのですから、昼間の仕事をしている方もそういうことをわかっていただけるとうれしいな、と思うんですけど。ホステスさんはお店が閉まってしまうと、収入がゼロなんですから

マスクの無料配布をスタート

 そんな逆風の中、ツイッターやインスタグラム、YouTubeでマスクを配布するという『マスクチャレンジ企画』を実施。マスクの入手が困難な時期に無料配布を始めた。

「うちで立ち上げたオンラインショップがあるのですが、そこの顧問で入ってくださっている方から“マスクを大量に入れられる”と連絡をいただきまして。最初は困っている方がいるなら少しお譲りしようかと思っていたのですが、銀座のママでSNSやメディアに出る人が少ないので、銀座にいいイメージを持っていただければという思いもあったんです。

 銀座代表としてではないですけど(笑)、何かできることがあればという感じでやってみました

 反響は上々で、普段、店に来ない人からも申し込みが多数あったという。

「もともと私の仕事が、お客様に対して何かできることはないかと考える仕事なので、こういうこともできるんだな、と思ったんです。

 この先も、こういった活動も広げていければいいなと思っています」