子どものトラブル編

子どものスマホをこっそりチェック、親なら許される?

「わが子のスマホの中身を見ることは、マナーや良心の問題は別にして、法律面でいうと基本的にはセーフです」

 とは、子どもを取り巻く問題に詳しい、レイ法律事務所の高橋知典弁護士。プライバシーの侵害にならないの?

「日本の家族関係で、プライバシー権を理由に慰謝料の請求が認められた例はほとんどありません。ただ、メールサービスなどのIDやパスワードを入手して中を見ようとすると、不正アクセス禁止法の違反になるおそれが」

 ただ見るだけならOKでも、スマホのロック画面にパスワードを入力して解除する行為は、法的にグレーだとか。

「子どもにスマホを与えるときに“親がチェックするからね”と、前もって了承させておけば問題ないでしょう」

しつけのためなら叩いてでも言うことを聞かせるべき?

 ときには親が叩いて教えることぐらい、アリですよね?

「いいえ。今年4月から児童福祉法等の改正で保護者による体罰そのものが禁止になりました。叩く、蹴るはもちろんダメ。厚生労働省は正座や食事抜きも体罰としています」

と、高橋弁護士。親には子どもの教育のために叱る『懲戒権』が認められていて、ある程度の体罰は黙認されてきた。しかし、千葉県野田市の女児虐待死など相次ぐ親からの虐待事件を受けて、法律が変えられたというわけだ。

 虐待は確かに問題だけど、デコピンの罰なら許される?

「ちょっとわかりません(笑)。今後の裁判の積み重ねによって、OKとNGの線引きが明らかになっていくのでは?」

クジ引きでPTA役員に……そもそも入らなきゃダメ?

「本来、PTAは任意加入団体で、入退会は自由です。入らなくてはいけない空気になっているのがおかしい」

 そう高橋弁護士はキッパリ。でも、PTAに入らないと「子どもを登校班に入れてやらない」「運動会の記念品を渡さない」などと言われることも……。

「PTA会費で賄っている記念品を渡さない行為は、会員と非会員の負担の差を考えて許容されることも。ただ、登校班に入れないというような、安全を阻害する判断は不適切。そもそも登下校の安全の確保は学校側の責任です。PTAに加入しない保護者の悪口や個人情報をベラベラしゃべるのも違法行為になりえます」

子どものいじめに被害者の親は何ができる?

「まずは学校に相談を。どんな状況か調査し、加害側の子どもへの指導をしてもらうのです。学校より先に、いじめた側の親に直談判するのはおすすめしません。話が通じる相手とは限りませんし、逆ギレされるだけのことも。それに親同士がもめると、学校は介入したがりません」

 と、高橋弁護士はアドバイス。相談した先生が、まったくアテにならないときは?

「学年主任やスクールカウンセラー、校長にも相談しましょう。その際、父親など男性についてきてもらうことも効果的。学校は男性の保護者に慣れていなくて、緊張感を持って対応してもらえる可能性が高い。それでだめなら、警察や弁護士に連絡を。頼れる人に当たるまで相談相手を増やしていくことが大事です」

 14歳未満の場合、刑事罰の対象にはならないけれど、加害者の親に損害賠償を請求できる。ケガをさせられたときは病院で診断書をもらうなど証拠を残しておこう。