“あのとき、あの場所を歩いていなければ……”などとは、思わなくなりました。最近は車椅子での生活が普通になってきたので

 地下アイドルグループ『仮面女子』に所属している猪狩ともか。彼女は2年前、強風で倒れてきた看板の下敷きになり、脊髄(せきずい)損傷を負って両下肢麻痺(まひ)に。車椅子で活躍するアイドル、といったほうがわかるかもしれない。

この前、足を猫に噛まれてしまったんですけど、感覚がないので噛まれたことに気がつかず、かなり流血してしまったということがありまして……。そのときは“あの事故さえなければ、噛まれたことがすぐわかったのに”と思いましたね

マイナス思考は変わらない

 26年間“普通”に生きてきた彼女だが、2018年4月11日、突然“普通”が奪われたーー。今まで当たり前にできていたことができなくなる。そんな状況に自分が置かれたとき、今まで見えていなかったことが見えてきたという。

私も自分が障害を負うまでは、車椅子に乗っている人がどんなことに不便さを感じているかとか、知らないことばかりだったなって。実際、身内に障害のある方はいなかったですし、ファンで車椅子の方はいらっしゃいますけど、そこまで深く私生活のことは知っているわけではありませんでしたから。

 知らないことが悪い、ということではないのですが、アイドルとして発信できる場所を持っている自分が、少しでも誰かの気づきになれればいいなと思います

猪狩ともか

 そんな彼女、事故の真相と自らを支えてくれた言葉をまとめた『100%前向き思考ー生きていたら何だってできる! 一歩ずつ前に進むための55の言葉』(東洋経済新報社)を刊行した。

 もともとはネガティブな人間なんです、と笑う猪狩。

ポジティブ思考になったというより、無理やりポジティブにしているというほうが正しいかもしれません。ネガティブな言葉を発していないだけで、私自身、根本はマイナスなことを考えていることはあまり変わってないわけですから(笑)