しかし、そうした若いころの佐藤健に対しては、「ガリガリで細すぎる」「目だけ大きくて、痩せた猫みたい」などの声もあった。その点、世間の多くの女性が佐藤の魅力にとろけるようになったのは、彼が30歳近くになってから。

 その間、『るろうに剣心』シリーズや、『バクマン。』『世界から猫が消えたなら』『何者』『亜人』など、多数の映画に出演し、持ち前の身体能力の高さを生かした芝居から、“普通っぽさ”まで演じ分け、技術を磨き、成熟度も高めたうえで、戻ってきたのが『半分、青い。』だったわけだ。

 しかも、『半分、青い。』終盤に重なるかたちで、ドラマ『義母と娘のブルース』('18年・TBS系)で、彼の持ち味である繊細さや聡明さとはかけ離れた、綾瀬はるか演じる主人公・岩木亜希子に好意を抱くおバカ可愛い麦田章役を好演。

 役者としての幅の広さを強く印象付けた上での、これ以上ないほどベタベタな王道ラブコメ『恋つづ』へつなげる、見事な快進撃を見せたのである。

『仮面ライダー電王』出演時は、可愛らしいルックスで注目を集めた
『仮面ライダー電王』出演時は、可愛らしいルックスで注目を集めた
【写真】若いっ! 主役級しかいない『ランチの女王』制作発表会での面々

 そういった意味では、9月4日に惜しまれつつ最終回が放送された『MIU404』(TBS系・'20年)で綾野剛(38)とW主演となった星野源(39)も、民放連ドラの出演は、同作と同じ野木亜紀子脚本の『逃げるは恥だが役に立つ』('16年・TBS系)以来、約4年ぶりの主演となる。

 また、「相棒役」の綾野剛もまた、『ハゲタカ』('18年・テレビ朝日系)以来、2年ぶりの出演であった。

 他にも『きのう何食べた?』('19年・テレビ東京)で、これまでのインテリ系や、男臭いイメージと大きく異なる役、やきもち焼きで細やかで優しくて可愛いゲイの美容師・ケンジを演じた内野聖陽(51)も、民放連ドラからはしばらく遠ざかっており、久しぶりに出演したのは『ブラックペアン』('18年・TBS系)から。これは、『とんび』('13年・TBS系)以来、なんと5年ぶりの連ドラ出演となった。

 さらに、テレビドラマはゲストか、スペシャルドラマへの出演くらいで、基本的に映画を主軸に活躍してきた“映画人”の浅野忠信(46)が、民放連ドラに出るようになったのは、『A LIFE~愛しき人~』('17年・TBS系)、『刑事ゆがみ』('17年・フジテレビ系)から。

 前クールの『ハケンの品格』(日本テレビ系)主演の篠原涼子(47)や、『SUITS』(フジテレビ系)シリーズの鈴木保奈美(54)など、結婚・出産などで連ドラから遠ざかっていた女優と違い、プライベートの影響をあまり受けにくい男性役者たちの場合、何を機に連ドラという舞台から遠ざかり、また、戻ってくるのか。