8月最後の月曜日、31日深夜2時に放映されたテレビ東京の番組『生理CAMP2020』が、放映終了後にも話題になっている。一時、ツイッターのトレンドワードにも上がったこの番組、見逃した人や地方在住で見られなかった人たちから「見たい!」の声が高まっているが、なんと史上初!「生理」だけをテーマにしたバラエティーなのだ。

 番組は「生理」という、女性ならどちらかというと隠したい、しかもドヨ~ンとしがちなテーマを扱いながらも、キャンプ場にいるようなラフなイメージのセットの中、あれこれ体験や新しい生理用品などについてワイワイと明るく、日ごろは友達同士でもなかなか話せないことまで突っ込んで、赤裸々に語り合っていたのが実に画期的だった。

「生理はないよ!」と会議でピシャリ

 出演者は進行役にフォーリンラブのバービー。森三中の黒沢かずこ、ゆきぽよ、そして、りゅうちぇるが出演……って、えっ? りゅうちぇる? 男性が生理の番組に? びっくりするかもしれないが、それこそ、この番組の狙いの要。一体、どういうことなのか? 番組を制作したテレビ東京の工藤里紗プロデューサー、制作会社ホールマンの新井若菜プロデューサーと豊村奈緒美ディレクターの女性ばかりのお三人と、zoomをつないで話を伺った。

2020年9月放送『生理CAMP2020』に出演のフォーリンラブ・バービー (c)テレビ東京
2020年9月放送『生理CAMP2020』に出演のフォーリンラブ・バービー (c)テレビ東京

「私と新井さんが10年ぐらい前のディレクター時代に、YOUさんなどが出演する『極嬢ヂカラ』という女性向けの深夜情報番組を担当していて、その中で生理企画がわりとヒット・コンテンツだったんです。折しも東日本大震災があって『ナプキンがなくて困りました』とか、『そうそう、生理って大切なテーマなんですよ』と共感のメッセージが数多く寄せられたり、『元気もらいました』という声も多かった。生理というテーマへのニーズはあるなぁと、ずっと思っていたんです」(工藤プロデューサー)

 工藤プロデューサーは6月下旬、テレビ東京が配信した「テレ東 無観客フェス2020」でも、「性に対するうやむや」を言語化する『withコロナ時代に必要な「新・性教育」セクシャルマインドセットをバージョンアップせよ!!』という番組を制作し、生理についても発信していた。

3~4年前から“female(女性)とテクノロジー”を掛け合わせた『フェムテック』という女性の健康にまつわる課題をテクノロジーで解決しようというサービスや商品などの大きな流れが世界で生まれてきました。生理用ナプキンを妻のために作ることでイノベーションを巻き起こした、男性主役の映画『パッドマン』が公開されたりで、これは時代がキテるな!と思いました。そこで生理を主にした番組企画をこの1~2年書いていたんですが」(工藤プロデューサー)

 ですが?

「女性特有の悩みに関する企画はすごくいいし、ニーズはあると思うけど、でも、生理については誰も見たくも聞きたくもないだろう? 生理はないよ!と会議でピシャリと言われてしまったんです」(工藤プロデューサー)

 はぁ、やっぱり……。

 でも、だからこそ多くの人が見るテレビでやる意味がある!と信じ、ひとりなら難しいことも二人、三人と力をあわせたら実現する。元々、工藤さんは同期でもある新井さんと生理についてよく語ってきてもいた。