なお、事務所の後輩グループである嵐は、5人が切れ目なくスピーディーに歌いつないでいくパフォーマンスも持ち味だが、これは少年隊から継承したお家芸と言えるだろう。例えば、'87年の『stripe blue』を聴くと、メンバー全員の高い歌唱力がなければスムーズにつなげないことがわかるのではないだろうか。本作は夏の爽快感を抱かせる流麗(りゅうれい)なポップスで、人気シンガーの椎名林檎も「ここまで眩(まぶ)しい夏の曲には、いまだ出会えておりません」と絶賛しているほど

カラオケでは若い世代にも人気

 そんな彼らの第2の魅力は、ヒット作が多いことだ。デビュー翌年にNHK紅白歌合戦に初出場した際、俳優の加山雄三が「少年隊『仮面ライダー』です!」と勢いよく間違って紹介したことが語り草となっている『仮面舞踏会』は言わずもがな、広い世代に耳なじみがある曲だろう。

 ほかにも、イントロの指鳴らしから始まり、美しいダンスで魅せるバラード『君だけに』、スウィング・ジャズに合わせて華麗に歌い踊る『まいったネ今夜』などを含め、9曲がオリコン1位を獲得、また、それらを含む16曲がオリコンTOP10入り紅白歌合戦には'86年以降、8年連続で出場を果たすなど、輝かしい功績を残している。

 続けて、第3の魅力として挙げたいのは、シングルにとどまらずカップリングやアルバム収録曲にも、歌い継がれるカラオケ曲が多いということ。'19年における少年隊のカラオケ人気曲(JOYSOUND調べ、以下カラオケデータは同じ)を見てみると、前述の『仮面舞踏会』や『君だけに』などのシングル曲にまじって、5位に『星屑のスパンコール』、15位に『Baby Baby Baby』、18位に『NON STOP!』、24位に『PGF』などシングル以外の楽曲がランクイン。その中には、彼らが毎年のライフワークとしてきた前述のミュージカル『PLAYZONE』のナンバーも上位入りしている。

 また、少年隊のファン層は40代から50代の女性が多いと思われるが、意外なことにカラオケ歌唱状況では10代・20代が女性全体の2割以上を占めているのをご存じだろうか

 これは、少年隊のコアファンのみならず、SMAPやKAT-TUN、A.B.C-Z、King & Prince、さらにはジャニーズJr.など後輩グループがステージで何度も歌い継いだことで、少年隊の楽曲がより多くのファンに広がったことが要因となっている。彼らの楽曲はアクロバットさが光ったりノリがよかったりとステージ映えするものが多く、それらを見たほかのグループのメンバーや演出家などがカバーしたいと思い、そして、それを聴いたファンも自分で歌ってみたい、といった連鎖反応が起きているのだ