少年隊の3人(左から植草克秀、錦織一清、東山紀之)
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ニッキ、ヒガシ、カッちゃんの素顔

 最後に、第4の魅力として、3人の異なる個性や絶妙なバランス感、グループ愛がステージや画面から伝わることも人気の秘訣だろう。

 まず、ニッキこと錦織一清の負けん気の強さは、シブがき隊と同学年でありながら、デビューまでに何年も遅れをとったことも大いに影響していそうだし、どの楽曲にもフェイクを入れるのは、ただのアイドル歌手としてではなく、ロック・ボーカリストとしてのプライドを感じさせる。『ザ・ベストテン』でマッチのバック・ダンサーとして出演し、黒柳徹子に「あなたはトシちゃんに似てるって言われない?」と尋ねられた際「えっ……」と一瞬、声を詰まらせたのは、若いながらも自分らしさを認めてほしかったからではないだろうか

 ヒガシこと東山紀之は、従来のジャニーズには珍しい切れ長の目で、何ごとにも慎重で冷静、というキャラクターもアイドルらしからぬ存在感を示していた。大人になってからは、大人数になるであろうジャニーズの後輩たちにお年玉をあげていたり、どんなに夜遅くまで酒を飲んでも早朝の自主トレーニングは欠かさなかったりと、その面倒見のよさやストイックさを示すエピソードは数知れず。彼は、ひとりでメディアに登場する際にも「少年隊を忘れないでほしい」と常にアピールしていた。

 そういえば、東山の妻・木村佳乃がテレビ番組『あさイチ』で夫の好きなところを尋ねられたとき「厳しいところ。ベターっと甘くない」と答え、ヒガシの姿勢が一貫しているからこそ頑張れる、と話していた。

 カッちゃんこと植草克秀は、激しく踊りながらもハイトーンをビシッと決めるのが得意だが、一見、ニッキやヒガシのようにストイックには見えないムードメーカーぶりも大きな持ち味で、それゆえ『さすらい刑事旅情編』や『渡る世間は鬼ばかり』などの長寿ドラマにも出演できたのだろう。実は植草、今回の発表がある前に、ファンクラブ会員に向けて「少年隊の中で好きな曲」をさりげなく尋ねていた。だが、彼のお茶目なキャラだからこそ、その後の重大な発表につながるとは誰も予想しなかったのではないだろうか

 ちなみに、この3人の「ソース顔(ニッキ)」「しょうゆ顔(ヒガシ)」「ケチャップ顔(カッちゃん)」を象徴したソウルフルなポップス『お好み焼き』という楽曲も'93年に発表されているが、こちらは今回のベスト盤には未収録である(苦笑)。後続する若いファンのためにも、こちらもいつかCD復刻、または音楽配信サービスで聴ければいいなと思う。

 '21年以降、ジャニーズ事務所に残るのは東山のみとなるが、今後も「少年隊」は存続するという。解散でも活動休止でもないという今回の発表を信じて、彼らの語り継がれ、歌い継がれる名曲たちを、3人そろって歌ってくれる日がまた来ることを信じていたい。

(文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)