楽しみは数年後。我と業が出てから♪

 そんな良家の子女たちが、数年後テレビ業界の清濁を併せ飲み、あきらめたり、やさぐれたり、あるいは古巣を蹴って飛躍する姿を見るほうが楽しい。思うんだけど、最近、若手の離職率が高くない? 特に女性アナウンサーの転向と活躍が気持ちいいのよね。

 テレ朝からフリーになり、TBSの『NEWS23』でメインキャスターとなった小川彩佳といい、TBSから足抜けして女優に転向し、男女の支持層を増やした田中みな実といい、不倫疑惑が報じられ、テレ東を“円満退社”した後はスキャンダル専門タレントになりつつある鷲見玲奈といい。

 なんとなく「テレビ局が求める“女子アナ”像」に嫌気がさして、わが道を突き進んだイメージがある。あ、そうそう、忘れちゃいけない、元TBSでタレント・作家になった小島慶子も、このスジの先駆者だよね。

 80年~90年代、“女子アナ”がブームだったとき、あまりに未来がなくて気の毒だなあと思ったことがある。いわゆる“女子アナ”は30代になると、出番が極端に減る。「アスリートと結婚」か「海外に移住し、セレブ生活を滔々と自慢する」か「なんちゃらアドバイザーとか、なんちゃらソムリエの資格をとる」ぐらいの行く末だったから。

 結局、“女子アナ”というのは「若いとき限定の職種」であり、年齢という壁や天井にぶち当たり、傷つき、疲弊するしかないのか、とも思った。
 
 ま、もちろん、“女子アナ”からキャスターの風格と威厳を身に着けた「女帝」もいるっちゃいる。野次専門のトンデモ政治家になっちゃった人もいるし、アナウンサー時代に事故やら騒動やらの波乱万丈を経験した後、頑張って司法試験に見事合格、弁護士になった人もいる。

 ひとくくりにしちゃ失礼だけど、“女子アナ”に課せられた壁と天井は、少しずつ壊されてきたような気もする。
 
 つまりは、我と業が出てきてからナンボ、と思っている。実際、何人かの女性アナウンサーと酒を飲んだことがあるのだが、みんな賢くて毒舌で豪快で楽しいオンナばかりなんだよ。「その面白さ、テレビの画面に出せばいいのに……」と思ったほど。