歌いたいけれど、歌えないを
デビュー後、初めて経験

 これまで歌えないと思ったことはないのかと聞いたとき、すぐに「今年ですよね」と答えが返ってきた。

「新型コロナでツアーが延期になって、リアルに歌えない状況になりました。(精神的に、肉体的に)歌えなくなったことはないです。歌うことがイヤになることもないかな。僕にとっては、ごはんを食べることと同じなので。何の取り柄もなくて、ひとつ武器が欲しいと思っていた少年時代にカラオケで“歌がうまいね”と言われて。

 そこから自分に自信が持てるようになった。そのひとつの武器にしがみつくように毎日歌うようになりました。家の近くの山の茂みのなかで。それが、路上ライブになって、デビューできた。望まれたら、僕はどこででも歌います。さすがにカラオケで自分のミュージックビデオが流れている前で歌うのは恥ずかしいと思いますけど(笑)」

高橋優 撮影/山田智絵
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 中止になった公演。歌いたいのに歌えない悔しさをぶつけて作ったのがニューアルバム『PERSONALITY』。

「今年は自分自身と向き合う時間が長かった印象があります。そして、価値観が大きく変わった年でもある。より個が重要視されるようになった。そういう意味で時代にフィットする言葉のPERSONALITY(個性)であり、改めて高橋優の個性、人間性を見てほしいというのもある。

 あと、僕自身がラジオのパーソナリティーをやっているということでつけたタイトルです。10年の区切りに出すのがベストアルバムではなくて、オリジナルアルバムだというくらい、デビュー10年ということを特別に意識していないし、功績を残してきた実感もない。まだまだ、これからの気持ちが強いです。

 今楽しみなのは、ライブですね。アルバムって、リリースして完成じゃない。ツアーを回って、お客さんと一緒に歌ったり、同じ空間で曲を響かせ、そうやって直接届けることで完結するんです。だから、夢も見ますもんね。声を出して応援してくれているお客さんの前で歌っている自分の姿の夢を」