「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。

第47回 馬淵優佳

『週刊新潮』が競泳男子・東京五輪代表の瀬戸大也選手の不倫を報じたとき、妻である馬淵優佳さんが気の毒だなぁと思ったのは、私だけではないはずです。

 若く、幼子を抱えている女性が、夫の不倫を知らされる。それだけでも十分すぎるほどショックですが、不倫のせいで、瀬戸選手はスポンサーであるANAから契約解除、味の素の広告契約も打ち切られてしまいました。瀬戸家の経済的損失は計り知れないでしょう。

「トップアスリートかつイクメン夫に愛される妻」として活動していた優佳さんですが、2020年9月25日配信の『文春オンライン』によると、瀬戸選手は昨年の秋から「オリンピックに集中したい」ということで、マンションでひとり暮らしをしていたとのこと。瀬戸夫妻と言えば、味の素のCM「勝ち飯」が思い浮かびますが、別に住んでいたということは、食事もともにしていなかったのかもしれません。しかし、優佳さんはそんなことはおくびにも出さず、「#勝ち飯」のハッシュタグをつけて、食事をインスタグラムにアップしていました。

「なんだ、勝ち飯なんてウソじゃないか」と思う人もいるでしょう。確かに真実でないという意味では、ウソでしょう。しかし、SNSは本当のことしかアップしてはいけないという規則はないはずですし、勝ち飯をアピールするのが“お仕事”だと考えるのなら、優佳さんの行動は正しいはずです。ただ、“愛され妻”の地位からは、すべり落ちてしまったと思います。

あまりにも「できた妻」のコメント

 世帯収入は減り、女性としてのプライドは傷つけられ、自分の仕事にも差し障りがあり、子どものころから打ち込んでいた飛込も結婚を機にやめてしまった。まさに踏んだり蹴ったりですが、その優佳さんが10月19日配信の『FRaU』のインタビューに応じたと聞いて、驚きました。不倫をした当事者の瀬戸選手が沈黙を守っているのに、なぜ一番の痛手をこうむっているであろう優佳さんが話さなくてはいけないのかと思ったのです。

 インタビューでは、優佳さんは夫をなじることなく、《彼にはプレッシャーもあった》《当時私は2人目の子を妊娠中。自分と子どものことでいっぱいいっぱいで、夫の心の内を聞いてあげられる余裕がなかった》と反省しています。あまりにもできたコメントで、私は逆にヤバさを感じましたが、一般的にこういう女性は「控えめな妻」「できた妻」として高く評価されることが多いものです。