現在、妹は会社員で、弟は有名私立高校の3年生。

「あのお宅は祖父母のときから頭のいい人ばかりでね。亡くなった祖父は製薬会社勤務だったし、祖母も定年まで科学関連会社で働いていた。父親の妹は薬剤師のようで、堅実なご家庭だと思っていました」(近所の主婦)

Tは大学院を中退し無職だった

 家の所有者となっている入院中の祖母は、10年ほど前から、気功や太極拳をしていた時期があったそう。

「もともと身体は強くなかったのですが、さらに精神も患っていたようです。

 その後、健康のために犬を飼って朝、昼、夜と3回の散歩をしていました」(前出・近所の主婦)

 祖母の入院後、Tは一生懸命に尽くしていたと周囲には映っていた。

Tが飛び降りた都営住宅。落下地点には、血のりらしきものが残っていた
Tが飛び降りた都営住宅。落下地点には、血のりらしきものが残っていた
【写真】Tが飛び降り自殺を図った都営住宅

 別の近所の主婦は、

「毎朝7時30分ごろ、祖母の犬を連れて散歩させているの。それで、ご近所と挨拶をするだけではなくて、きちんと世間話もできる、最近の若い人には珍しい、いい子でね。

 “いま僕は大学院に行っていますが、最近はリモート(授業)で大変。高3の弟はこれから大学受験で、妹はこの時期に就職だからボクより大変で、かわいそう”と妹や弟を気遣っていましたよ」

 この会話の後に大学院を去ったのかもしれないが、Tは大学院中退で事件時の職業は無職。

 コロナ禍の中、きょうだいを気遣っていたからこそ、不憫に思って事件に巻き込んだのだろうか。

 近所の人への話が、本音だったのか格好をつけたのかは不明だが、残された父母や入院中の祖母は今、どん底の状態のはずだ。