イクメン議員が妻の臨月中に不倫─。文春砲が暴いた女性問題に永田町界隈はもちろん、世間は大きな衝撃を受けた。何しろ当のイクメン議員とは、男性国会議員初の育児休暇取得を宣言して賛否両論を巻き起こした若手議員宮崎謙介さん。片や夫の裏切りにあった妻は、夫と同じく衆議院議員金子恵美さんだった。

 宮崎さんは世間の囂々たる非難の的となり、世の全女性を敵に回したとも言われた。あれから4年。著書『許すチカラ』で金子恵美さんはすべてを語った。

 初産の夜に夫から聞かされた衝撃の告白のこと。すべてを失ってボロボロになった夫の姿を目にし、“この人を守らなければ”と決意した瞬間のこと……。

「私は夫を許しました。今、とても幸せです」

 と語る金子さん。妻として母として、そして女としての思いとは……。

「怒りよりも悲しみの感情が強かった」

「宮崎からあの話を聞いたのは、出産直後の深夜でした。彼はそれをなかなか切り出せず、肝心の話に入るまでに1~2時間はかかったでしょうか。私も20時間以上かかった初産の後で疲労困憊。ようやく宮崎が“文春に載る”と重い口を開きました。

 最初に聞いたとき“女性問題でよかった”と思いました。刑法に抵触することでなくてよかった、という思いです。そこは他の女性の方とは大きく異なる部分かもしれません。

 それは自分も政治家だったので、夫であると同時に同志でもあったからというのは大きいですが、だからといって女性としての感情がゼロだったかと言えばそうではありません。怒るというより悲しみの感情のほうが強かった。何で宮崎はそんなことしてしまったんだろう、って……

 金子さんに告白をする日、宮崎さんは週刊文春から不倫について尋ねられ、相手の女性に電話をかけた。そして週刊誌に載ると確信した彼は、金子さんの入院する病院の前でトラックに飛び込み自殺をしようとする……。

「“終わった”と思ったそうです。でも、どうしても子どもの顔を見たい気持ちもあって死にきれずに私の病室にやって来た。入って来たときに顔色が真っ青で生気がなく、何かあったことはすぐにわかりました。話を聞いた後、思うところはありましたが、出産の日の夜ということもあって“家族でやっていく”ことを考えました。

 この子を一緒に育てていく相手なわけだから、宮崎が弱るよりは再生再起をサポートしなければと。何か事件が起きたときに政治家に求められるのは危機管理能力。頭を切り替えて、どう対応していくか考えました」