違約金ってどうやって算定する!?

 タレントとスポンサーなどとの契約で語られる「違約金」は、大きく分けて映画やCMなどをもう1度、撮影するためにかかる「実費」と、続けていたら得られたはずの「逸失利益」の2つ。

後者は上映中止やイメージ毀損などによって得られたはずの売り上げがどれだけ減ったのか。細かく試算することは難しく、多くの場合は契約書の損害賠償の条項に一律の金額を明記するのが一般的

 こう話すのは、芸能事務所の契約書作りにも携わっている高橋裕樹弁護士。実際にはタレント相手に裁判を起こすと企業イメージが悪くなるので、請求しないケースもあるという。では、違約金が発生する線引きはどこなのか?

 伊藤健太郎の『とんかつDJアゲ太郎』は不祥事が起きても公開に踏み切った。しかし、新井浩文の主演映画『善悪の屑』は公開中止に。このあたりの線引きが日本の場合、はっきりしていない。

ハリウッドでは、出演者に不倫や薬物問題が起きても公開します。日本の場合は、犯罪かどうかで線引きすると法律上はスッキリすると私は考えています」(高橋弁護士・以下同)

 つまり、薬物や交通事故によるトラブルは法律上、問題があるのでアウト。逆に不倫や金銭トラブルは犯罪ではないのでセーフということ。

 CMの場合、不倫はイメージ毀損にあたるかもしれない。近藤真彦もあの騒動でCMが切られても致し方ない。だが、妻も許しているのなら無期限の芸能活動自粛は重すぎると高橋弁護士は話す。

競泳男子の五輪代表に内定している瀬戸大也選手の不倫騒動に至っては、9月末日付で所属先との専属契約を解除。犯罪行為をしたわけではないのに、契約の解約条件に当たるのか……。瀬戸選手が不当だと訴えると、もめる可能性もあったはずです

 ケースによって対応が定まらない現状だが、はっきりとラインが引かれた例もある。

 小出恵介の事件は「18歳未満の夜中の連れ回しは禁止」とし刑罰を定めている大阪の条例に違反していた。もし山Pが今回、問題になった未成年との飲酒&連れ回しを大阪でしたら書類送検。東京の条例では刑罰があるのは相手が「16歳未満」だったため、山Pは条例違反での摘発を免れて違約金は発生しなかった

単純に違反したかそうでないのか。CM、ドラマ、紙媒体、音楽配信などそれぞれのメディアごとにガイドラインを作るべきだと思います

最近の“やらかし”芸能人の違約金

ピエール瀧【5億〜10億円】CM、ドラマ、映画と数多く出演。大河ドラマの撮り直しや、ディズニーの『アナと雪の女王』で声優の降番が莫大な金額の原因とも

新井浩文【5億円以上】バイプレーヤーとしての出演が多いので、その作品の配信や販売が中止になると、もっと高額な違約金になる可能性もあるという

沢尻エリカ【5億円以上】CM、ドラマ、映画など主演での作品が多く、CMだけで3億5000万円超えとも。大河ドラマ10話分の撮り直しもかなりの負担増に

宮迫博之【5億円以上】闇営業が発覚した当時、7本ものレギュラー番組を抱え、声優や俳優の出演も予定していた宮迫。テレビ復帰を熱望しているが……

小出恵介【5億3305万円】NHKの主演ドラマや、ネット配信のドラマが放送中止や撮り直しになった違約金を事務所が肩代わりし、その額が裁判の手続きで発覚

伊勢谷友介【5億円】出演映画が中止にならないという“追い風”もあるが、事務所から契約解除されて支払い責任を彼個人が背負うとも……。

徳井義実【3億円】1年の謹慎後、地上波で復帰。視聴者からのクレームもあったというが、事務所のバックアップもあるので、支払いは安泰!?

東出昌大【2億円】4社のCM契約が解消され、杏と離婚。しかし映画やドラマの出演オファーは届いているというので、支払いという“禊”に専念!?

(取材・文/KAPPO INLET GROOVE)