'16年に開催された『伊藤若冲展』は最大320分待ちを記録。平成に入ってから爆発的人気を獲得した奇想の絵師・伊藤若冲。江戸時代中期、京都の青物問屋の長男として生まれるも、絵師として身を立てるようになったのは40歳を過ぎてから。その人生には謎も多く、綿密な考証と大胆な仮説に基づき、初めてスペシャルドラマ化される。

 若冲を演じるは、中村七之助。W主演を務めるのは永山瑛太。若冲の才能を開花させた僧侶・大典顕常を演じる。

最初はあまり
話さなかったけど

――初共演、お互いの印象は?

七之助僕はあまりテレビのお仕事をさせていただく機会がないので、最初にお会いしたときは“うわ、瑛太だ”って感じで(笑)。映画が大好きなので、いつも“いい役者さんだな〜”と思って見ていましたから」

瑛太「ちゃんとお会いしたのは撮影2日目。大典に出会った若冲がひと目惚れというか、衝撃を受けるシーン。普段なら自分から共演者の方とのコミュニケーションを図るんですが、なんか違ったドキドキ感が心の中に芽生えてしまいまして。男性の方に使っていい言葉なのかはわからないですけど、ついつい見惚れてしまうというか。すごくキレイなたたずまいで、妖艶。正直、緊張もありました。やっぱり小さいころからずっと歌舞伎界を担ってきた方ですから」

七之助「そのシーンで瑛太さんの目を見た瞬間、これは言葉では言い表せませんが、役者としてビビッときた。“あ、これは引っ張ってくれるな”と。もともと私、女方を演じてますから、立役さんに引っ張ってもらって能力が伸びる、みたいなスキルを持っているので(笑)。瞬間、“任せておけば大丈夫だな”と思い、実際にそうさせていただきました」

中村七之助 撮影/高梨俊浩

――週刊女性の撮影中も終始、話をしては笑っていた2人。すっかり仲よしに?

七之助「最初はお互いに話さなかったんですよ。緊張もあって」

瑛太「僕は本番直前まで世間話すると、セリフが飛んでいっちゃうので(笑)。でも撮影の後半には“じゃあ今日はおでんに行こう”みたいな感じになってましたね」

七之助「徐々にお食事やお酒に。最後の日なんて、楽しかったですよ。“次はこんな作品でこんなことをやりたい”なんて話を監督と3人でして」

――独自に磨いた画才をいかんなく発揮させた若冲と、名プロデューサーのような大典。演じた役との共通点は?

瑛太俳優をやり始めて20年近くたちましたが、始めたころは“誰もやったことのない表現にチャレンジしよう”“主演を張ろう”といった野心や目立ちたい気持ちが強かったんですが、ここまで俳優をやってこられて、現時点では主演がどうとかではなく、“誰かのスパイスのような存在に”という気持ちのほうが強いです。自分が何かを成し遂げるよりも、信用して好きになった人が世間に評価されるところまで行ってほしい。そう願う感覚は、大典と共通していると思います」

七之助「若冲と自分、似ているところはほとんどないんじゃないかな(笑)。アハハハ。この人、絵のことしか考えていない。お酒は飲まない、女性にも興味がない。ストイック中のストイック。僕は欲まみれの人間なので(笑)、全然似てないです。きっと若冲は、役者なんて絶対できないだろうね