第2の変革期

『どうする家康』の脚本は、ドラマ『リーガル・ハイ』や『コンフィデンスマンJP』(ともにフジテレビ系)などを手がけた脚本家の古沢良太氏が担当する。彼は、松本を猛プッシュしていた。

制作スタッフとの打ち合わせで、古沢さんはしきりに“家康役に松本さんを使いたいんです”と言っていましたよ。2人は過去に一緒に仕事をしたことはないので、なぜあんなに松本さんを推していたのか不思議なくらいでした」(制作会社関係者)

 実は、彼らには深いつながりがあった。

「古沢さんは'16年に松本さんが主演を務めたTBS系の日曜劇場『99・9-刑事専門弁護士-』を見て感銘を受けたそうです。今回の大河で家康役に誰を起用するか考えるにあたって、多くのドラマや映画を見て、思い描いていた“ナイーブで頼りない家康”に当てはまる俳優を探しました。すると、『99・9』で松本さんが変わり者で危なっかしい役をやっていた。その演技を見て、“彼なら家康役を任せても大丈夫だろう”と確信したといいます」(NHK関係者)

 松本の熱演を見るうちに、古沢氏の脳裏に“あの演技派俳優”の顔がよぎった。

「『リーガル・ハイ』で主演を務めた堺雅人さんです。堺さんは、偏屈で毒舌の弁護士役を演じましたが、『99・9』で松本さんが演じたのも、飄々としたクセのある弁護士役でした。くしくも、同じ役柄を演じた松本さんに堺さんの面影を重ねたのでしょう」(同・NHK関係者)

 大河に出たことで、今後の松本の俳優としての仕事に変化はあるのだろうか。『ジャニーズは努力が9割』(新潮社刊)の著書があり、ジャニーズ事情に詳しい霜田明寛氏に話を聞いた。

演技の幅とシニア層への認知度が広がるでしょう。滝沢さんも、岡田さんも、それまでは若い人向けの作品に出演することが多かったですが、大河以降は、シニア層の間でも支持を得る作品に出演し、評価されていますからね

 大河に出る年に松本は40歳になる。その時期は、彼にとって、“第2の変革期”になるという。

第1の変革期は'00年代前半でした。ジャニーズJr.時代は、天然でかわいらしい弟系のキャラクターでしたが、ドラマ『ごくせん』や『花より男子』以降、王子様系のキャラクターとして人気を得るようになりました。今後は、“頼りがいのある大人”というキャラにもシフトできると思います。20〜30代は王子様キャラで女性からの人気を獲得したので、40代以降は男性や自分と同じ世代の人たちからも支持を得るようになるかもしれません」(霜田氏)

 かつて徳川家康は数々の強敵を倒して天下統一を成し遂げた。大河でパワーアップした松本が“芸能界統一”を果たす日もそう遠くない!