“優しい彼”が“彼の全て”と妄信?

 次に、「どんなときも優しく包み込んでくれる彼」という部分ですが、この点においてもマホトが今泉に見せていた“優しさ”の全部が偽りだったとは思いませんし、彼が故意に騙そうとしていたとも思いません。今泉が惚れた“優しいワタナベマホト”は、“本当の彼”だったのでしょう。

 しかし、筆者はここも問題ポイントだと思いました。

 それは、彼女が“優しいワタナベマホト”という一面を、“彼の全て”だと妄信してしまったからだと考えています。今泉が惚れた“優しいワタナベマホト”は“本当の彼”の一部なんでしょうが、同時に“女性に非道・下劣なことをするワタナベマホト”も“本当の彼”だということです。

 彼に限らず、多面性を持っている人間は世の中にごまんといます。逆に、いつ・どこで・誰に対しても発言や態度が変わらない一面性のみの人間のほうが、少ないのではないでしょうか。

 多面性があったことが悪いというわけではなく、マホトの場合、良い面と悪い面のギャップがあまりに大きかったことが問題なのだろうと感じます。

 今泉は、自分に優しく接してくれるという部分だけが“本当の彼”(=“彼の全て”)だと妄信し、女性に対して非道・下劣なことができてしまう部分は“本当の彼”とは認めていなかったのかもしれません。

 そういう彼の悪い性質はもう改心して直っていると信じ込んでいたか、そもそも精神的に追い詰められて起きてしまった悲劇だと思っていたか……。いずれにしてもマホトの悪い面に対して、都合よく解釈していたのではないでしょうか。

 一部では、マホトが離婚を匂わせた発言もしていると報じられていましたが、今後、夫婦として共に歩んでいくとしても、離婚して別々の道を歩むとしても、今泉と生まれてくるお子さんが幸せな人生を送れることを切に願います。

PROFILE●堺屋 大地(さかいや だいち)●恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー、恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』(文藝春秋)、『日刊SPA!』(扶桑社)、『Business Journal』(サイゾー)などに寄稿している。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。