周囲の協力もあり、8000人の応募者の中から市川準監督に見いだされ、'97年にCMでデビュー。ドラマ評論家の北川昌弘さんは、当時からスター性を感じたと語る。

「CM畑出身の市川監督が選んだだけあり、15秒の中でも存在感を出せるアイドル性の高い女の子が現れたなと強く印象に残っています」

風吹ジュンも絶賛する“プロ意識”

 市川監督がメガホンをとった『大阪物語』で映画デビューを飾ると、映画コンクールの新人賞を総ナメ。デビューから4年目の'01年にはNHKの朝ドラ『ほんまもん』のヒロインに抜擢されるなど、国民的女優の仲間入りを果たす。同作でヒロインの母親役を演じた風吹ジュンも、彼女の人間性を絶賛する。

池脇千鶴、NHK連続テレビ小説『ほんまもん』ヒロイン発表にて(2001年)
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「最初から大物でした。ハードな撮影が続いていましたが、いっさい首を垂れることもないタフな心で終始、笑顔で接していましたね。庶民的でありながら時代に媚びるでもなく自分のペースであり続ける。女性の強さ、根っからのプロ意識の高さを感じました」

 透明感のあるルックスゆえ、アイドル的な扱いを受けることも多かった池脇。朝ドラが終了した翌年、映画『ジョゼと虎と魚たち』で濡れ場に挑戦したことで、実力派女優への一歩を踏み出す。

「俳優が多くいる事務所であればCMのオファーなども考えて、朝ドラのヒロインを務めた直後にヌードになる仕事は断るケースが多いと思います。しかし池脇さんは、デビュー当時から吉本興業(の系列)に所属。事務所が長期的な戦略を立てて、急いで売り出さなかったことが彼女のスタンスとマッチし、早い段階で脱・清純派に成功しましたね」(北川さん)

 過去のウェブインタビューで転機になった作品を聞かれ、

《強いて言えば『ジョゼと虎と魚たち』ですね。アイドルっぽい目線で見られていたのが、初めて女性からファンレターをいただいたんです》

 と語るなど、彼女自身も思い入れが強いようだ。別のウェブメディアのインタビューで出演作品を選ぶポイントを聞かれたときは、

《自分が面白いか、面白くないか。観たいか、観たくないかの台本ありきですね》

 そう答えていたとおり、次第にじっくり作品を作り上げる映画中心の活動にシフト。'14年公開の映画『そこのみにて光輝く』では、貧しい家庭を支えるために身体を売るヒロインを熱演。『日本アカデミー賞』優秀主演女優賞のほか、多くの賞を受賞した。