YouTubeで復活するも家庭では……

 実はアンチである筆者ですら、石橋を可愛く感じたことがある。『うたばん』でゲストに女性アイドルを迎えたときのこと。いつにもまして下ネタを連発したあと、ふとわれに返り、こうつぶやいたのだ。

こんなのばっかりで、すみません

 このギャップが意外に面白く、あれほど石橋で笑ったことは、あとにも先にもない。

 ちなみに、彼の動画も古くさい過激さが売り。ユーチューブについては当初「ちんぷんかんぷん」だったが「テレビだと思って」とディレクターに言われ「テレビの手法ならできるな」と始めたという。つまり「こんなのばっかりで、すみません」という開き直りが奏功したわけだ。

 ただし、調子に乗りやすい人でもある。

 プライベートでは、1989年に結婚。翌年、娘(女優の石橋穂乃香)が生まれるとさっそくネタにした。とんねるずのアルバムに「ほのちゃんにはがはえた。」というタイトルをつけ、彼女の口元のアップをジャケットに使用。『7月31日に生まれて』というソロ曲まで収録するという親バカぶりを見せた。

 しかし、9年後に離婚。その2週間後に、鈴木保奈美とのできちゃった再婚を発表して「不倫」「略奪」などと騒がれた。再婚では3人の娘に恵まれたが、保奈美は最近、マンションを購入したり、個人事務所を設立するなど、離婚準備に入っているとされる。

 年末恒例の番組『プロ野球戦力外通告』(TBS系)では、失意の夫を支える妻の美談がつきもの。ただ、石橋は家庭でも戦力外寸前のようだ。せめて仕事ではクビにならないよう、このしおらしい芸風をしばらく続けたほうがよさそうである。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。