「根暗な私は“バービー”になって救われたんです」と語るバービー
「根暗な私は“バービー”になって救われたんです」と語るバービー
【写真】自身の芸名とのギャップについて語るバービー

バービー 実は先日、心理学協会の方とお話しする機会があったんです。その方に「本当の私は根暗で人見知りで内向的だけどバービーというめちゃくちゃ明るくて奔放、自信満々なキャラを得て救われている」と言われました。それを聞いて、若いころにインド哲学やチベット仏教哲学を学んで自分自身を深く掘り下げる経験をしたからこそ、ふたりの自分をバランスよく統合して自己実現につなげられたのか、と腑に落ちましたね。

原田 どちらも本当の自分として大切にしてるんですね。

バービー そうですね。30代に入ってからお笑い以外の仕事もするようになったんですけど、活動の幅を広げるほど“バービー”も本名の“笹森花菜”も、両方なくてはならない存在になりました。

 昔は社会的な顔としてバービーが表に出ることが多かったけど、この1〜2年でふたりがうまく溶け合うようになりましたね。

原田 もうひとつの顔があるおかげで、自尊心が保てる部分はありますよね。

 僕自身は他人と自分を比べて一喜一憂することはないんですけど、一方で他人と比べて成立している芸能界に身を置いている。そういう意味では、僕にも別の自分がいるのかもしれない。

ノーブラで街を歩こうとした

原田 最近は執筆活動をしたり、下着のプロデュースをしたり幅広く活動されてますが、何かきっかけはあるんですか?

バービー 明確なきっかけはないんです。ただ、自分が抱いていた世間に対する“違和感”を発信するようになってから仕事も変わってきた印象です。もちろん、時代の変化も影響していると思います。

原田 世間が変わった?

バービー はい。個人的に“外側の価値観にとらわれる必要はない”と思っていても、昔は白い目で見られたんですよね。例えば、学生時代に「女だけブラジャーをしなきゃいけないのはおかしい」と感じてノーブラで街を歩こうと試みたこともありました。

原田 チャレンジャーですね!

バービー でもそのときは、友人に「そこまですることない」と止められて断念したんです(笑)。当時はそういうマイノリティーな意見は爪弾きにされたんですけど、今は逆に称賛されるようになって、正直戸惑っています(笑)。

原田 バービーさんの根っこは変わってないですからね。

バービー そうなんです。無人島で孤独に過ごしていたつもりが、いつの間にか島にたくさん人が集まってきた感じ。ちなみに原田さんは、自分の考えが確立されたタイミングってあるんですか?

原田 確立……してないんでしょうね、今も。生きている限り考えはどんどん変わっていくものなので。

バービー そっか、完成しないのか。すごくいいですね!  昨年私が出版した本には『本音の置き場所』とつけたんですけど「私の本音は変わるかもしれないから、いったんここに置くよ」という意味を込めました。原田さんもおっしゃるように、本音も考えも変化していきますよね。