後輩への指導に悩むことも……

原田 すごくわかります。バービーさんはとても柔軟な方なんですね。

バービー 柔軟でいたいです。ときどき、雑誌などで私が自信たっぷりに「若い子は◯◯すべし!」という言い切り表現になっているときがあるんですけど、私は誰かに価値観を押しつけたくないんです。最近は、そういう面で自分と世間のイメージとのギャップを感じます。

原田 それは少し怖いですね。

バービー こんな私ですが、後輩への接し方に悩んでいるんですよ。先日、同じ事務所の芸人が集まって、ある地上波の番組に出演したんです。そのとき、若手の子がMCの中居正広さんよりも5分遅れてスタジオ入りしてきたり、全然前に出ようとしなかったり、収録中にすごくヒヤヒヤしちゃったんです……。

原田 前もって何か教えてあげるべきだったと?

バービー はい。事前に小ネタ仕込んどけとか、ちゃんと挨拶しようねとか言えばよかった。収録後に仲がいい後輩には箇条書きで反省ポイントを送ったんですけど、もっとできることがあったよなあ、なんて後悔しました。

原田 でもそれは、バービーさんが教える以前の問題だよね。特に遅刻をしない、挨拶するなんてどんな場面でも大切じゃないですか。

バービー (驚き)!

原田 彼らは笑いが取れなかったことを悔しがってるんですか?

バービー それも気になります……。

原田 それもバービーさんが気に病むことじゃないと思いますよ。芸能界は自分でアンテナを張ってキャッチしないと生き残れない世界なので。バービーさんは先輩から仕事の姿勢を教えてもらったんですか?

バービー 同じ事務所に女芸人の先輩がいなかったので、言葉で教えてもらった記憶はないです。ただ、収録中に先輩たちの連携プレーを見たり、先輩からのパスを「バービーちゃん」としてどう返せばいいか、というレールを敷いてもらったりして、現場で学んでいきました。

原田 それはバービーさんが先輩からの信号をキャッチしようと努力した結果、成長につながったんじゃないかなあ。後輩の学ぶ姿勢まで抱え込むことはないと思いますよ。

バービー なんだかスッとしました……! まさかカウンセリングまでしていただけるとは。ありがとうございます!

原田 いやいや、感想を伝えただけなのでご参考まで(笑)。僕もいろいろな気づきがあってすごく楽しかったです。ありがとうございました!

【本日の、反省】とっても素敵な方でしたね。学生時代に哲学を学んでいた過去が関係しているかどうかはわかりませんが、冷静に自分を分析して奥行きがある女性。これからもどんどん変化や進化を遂げて、自分の道を突き進んでいってほしいです。今回の対談では聞けなかったけど、バービーさんがこれまで積んできた人生経験もぜひ教えてもらいたい。これからも応援しています!

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取材・文/大貫未来(清談社)

原田龍二(はらだ・りゅうじ)●1970年、東京都生まれ。第3回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞後、トレンディードラマから時代劇などさまざまな作品に出演。芸能界きっての温泉通、座敷わらしなどのUMA探索好きとしても知られている。現在、YouTubeチャンネル「原田龍二のニンゲンTV」を配信中!