冒頭の住人らを除けば、突然の逮捕劇に驚いた住人は少なくない。事件そのものを知らされていなかったからで、一部の敏感な住人らが、マンション周辺に張り込む覆面パトカーや、住人のゴミ捨てに目を光らせる私服捜査員をいぶかしむ程度だった。

「事件を知っていたら、だれが犯人かと疑心暗鬼になったと思うし、怖くて生活できなくなったかもしれない」

 と住人の女性は、この1か月を振り返る。

彼の周囲ではもめ事が多かった

 逮捕された小山容疑者については事件前からよくない評判が立っていた。

 別の男性住人が打ち明ける。

「ひと言でいえばクレーマー。気が短くて、なにかと細かいことに口を挟むんです。マンションの大規模修繕工事があったとき、住人でつくる管理組合の役員でもないのに、“役員会議に出席させろ”と急に迫った。外壁に使ったタイルの数量を施行業者が水増し請求しているのを暴くという。疑念の根拠を聞いたら“オレが数えたから間違いない”と。ほら、タイルは建物全体に使っているんだから、そんなの数えられるはずがないでしょう」

 強引に出席した小山容疑者は、管理会社や施行業者に「詳しい資料を出せ」などとすごみ、困惑させたという。

事件現場となったマンションには防犯カメラが2台。この外壁のタイルの数に容疑者は難クセをつけていた
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 あるいは数年前の大雪が降った翌朝、住人が駐車場で雪かきを始めると、

「役員が出てきていないじゃないか」

「なにやってんだ、あのヤロー」

 などと本人のいないところで散々、文句を言うことも。

 あまりに口を挟むため「役員をやったらどうか」と勧めると、「オレは面倒くさいことはイヤなんだ」と言い放ったという。

「小山容疑者は猫を飼っていて、“よその家がうちの猫にちょっかいを出している”と言い始めたことがありました。名指しされたお宅に聞くと、そんなことするはずがないという。真相はわかりませんが彼の周囲ではもめ事が多かった」(同住人)

 小山容疑者は独身でひとり暮らし。3人きょうだいの末っ子として同市内で育ち、両親はすでに他界している。実家の近くにマンションを購入したのは1999年のこと。同居する女性と連帯して約2500万円の住宅ローンを組んでいる。関係者によると、一時は高級乗用車を乗り回すなど羽振りがよさそうに見えたという。

「夫婦然として暮らしていましたが、正確に言うと内縁の妻なのかもしれません。いずれにせよ、その女性と別れ話になり、小山容疑者は怒って騒いで警察ざたになった。女性とヨリが戻ることはありませんでした」(事情を知る関係者)

 一方、マンション住人に「おたくの猫ちゃんは元気?」と話しかけるなど愛想のいい一面も。「悪い人には見えなかった」と話す住人もおり、それなりの社交性は持ち合わせていたようだ。