0円健康法《肺トレ》

●肺トレ
酸素量が不足すると疲労、老化、病気を招く

 人間の身体は、呼吸によって取り入れた「酸素」と食べ物から取り入れた「栄養」を結合させることでエネルギーが生まれ、全身の細胞が活性化する。肺が衰えると呼吸が浅くなって酸素を十分に取り込めなくなり、全身の細胞がエネルギー不足の状態に。冷えやむくみ、肌荒れ、慢性疲労といった不調の原因になるという。

 さらに肺の衰えで血中酸素濃度が低下すると、心臓や血管に過度な負担がかかり心臓血管病を発症させる。また脳に十分な酸素が届かず集中力の低下や認知症の一因にもなる。このように生活の質を左右する大きな疾患の引き金となる可能性も少なくない!

 呼吸は心身の健康維持と密接な関わりがあるが、肺の機能は20歳代ごろを境に低下の一途をたどる、と小林弘幸先生は指摘する。

今の医療では衰えた肺そのものの修復はできませんが、呼吸に関わる呼吸筋群を鍛えることで、今ある肺の機能を最大に高めることが可能。酸素量もアップできます」

 呼吸筋群を鍛えるには「肺活トレーニング」習慣が大きな効果をもたらすという。

「特に、風邪が治りにくい、咳や痰が続くなどの症状がある人は肺の衰えが進みやすい傾向が。早めに対策することが大切です」

◆肺活トレーニングのやり方
肺トレ時は常にこの呼吸を維持しよう

【1】リラックスした状態で、3〜4秒かけて鼻から息を吸う。
【2】6〜8秒かけて口からゆっくり息を吐く。

■胸郭のトレーニング

 呼吸をしながら筋肉を伸ばすことで肩甲骨と胸郭が広がり、深い呼吸が可能に

【1】足を肩幅に開いてまっすぐ立つ。両手は頭上に伸ばして手首を交差させ、鼻から息を吸いながら腕を上へと伸ばす。

【2】【1】の姿勢のまま、口からゆっくり息を吐きながら身体を右にゆっくり倒し、鼻から息を吸いながら1の姿勢に戻る。

【3】同様に、左も行う。左右交互に5回×1〜3セットが目安。

教えてくれたのは……小林弘幸先生
順天堂大学医学部教授、日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究と腸のスペシャリストであり、プロスポーツ選手の健康指導などにも携わる。
『最高の体調を引き出す超肺活』(小林弘幸著、末武信宏監修/アスコム)

●取材・文/中村朋子● デザイン/I'll Products