実録! 私たちもオーバー60で仕事をしています!(2)

《販売》

◯子ども服販売員(76歳)
〜好きなブランドで売り上げに貢献できた! 〜

 専業主婦で、子どもたちも独立し、孫の送り迎えなども一段落したのが65歳のとき。空いている時間に何かできないかと考えていたところ、孫の服をよく買う外資系カジュアルブランドの店で、同年代の女性が接客しているのを見かけたんです。

 自分もやってみたいと思い、問い合わせると、年齢制限も定年もないとのこと。面接に合格し、ベビー&トドラー売り場に配属。週に1、2日通っています。

 同年代のお客さんは話しかけやすいようで、孫へのプレゼントを相談されることも。若いお母さんからは子育ての相談を受けたりして、何度か売り上げトップで表彰されました。850円の時給も今は1250円に。一度、頼まれて勤務を増やしたところ体調を崩し、元のシフトに戻してもらいました。やはり体力は以前のようにはいきませんね。

 1日に数時間の仕事なので収入は多くはありませんが、もともと子どもも洋服も好きなので楽しいです。職場には若い人も多いので、こちらの気持ちも若々しく元気でいられるような気がします。

※イラストはイメージです イラスト/水口アツコ
※イラストはイメージです イラスト/水口アツコ
【グラフ】定年後も社会参加をすることで、心身の健康につながる

◯古着リフォーム店の販売員(63歳)
〜初めての仕事も楽しく続けています〜

 知人が古着や着物で作った洋服を販売するショップをオープンしたのですが、店頭に立ってもらえる人がいないとのこと。それで、お願いできないかと頼まれたんです。古着のリフォームには関心があったので、手伝ってみることにしました。

 店頭販売の経験はなかったので、最初は不安もありました。でも、もともと興味があった分野でもあり、思っていた以上に楽しんでいます。

《観光》

◯観光ホテル客室係(62歳)
〜アパレルから観光業へ〜

 服飾デザインの仕事をしていましたが、体力の限界を感じてやめることに。その後、10年ほど前に観光ホテルの客室係に転職をしました。

 コロナ禍の前は海外からのお客様も多く、なかなか国際色豊かな職場でした。この仕事を始めて、語学をもっと勉強したいと思うようにもなりました。コロナが収まり、また海外のお客様を迎える日のために、勉強を続けています。いくつになっても何か新しいことを始めるのは、楽しみでワクワクしますね。

※イラストはイメージです イラスト/水口アツコ
※イラストはイメージです イラスト/水口アツコ

●シニアワーカーの落とし穴に注意
《自分の健康は自分で守る!》


 加齢による体力の衰えは、個人差はあるにせよ、だれもが逃れられないもの。体力に応じて仕事を調整したり、食事や睡眠、運動といった生活習慣を見直すなど、健康管理にはこれまで以上に気をつけたい。

 松本すみ子さん(前出)も、シニアが働くためには「健康が最も大切」と強調する。「社員時代は会社で健診を受けていた人も、退職後は自分で積極的に受けるようにしてください」(松本さん)。

教えてくれたのは……松本すみ子さん
1950年生まれ。シニアライフアドバイザー、キャリアコンサルタント、産業カウンセラーとして、セカンドライフの提案や情報提供を行う。著書に『55歳からのリアル仕事ガイド』(朝日新聞出版)、『定年後も働きたい。人生100年時代の仕事の考え方と見つけ方』(ディスカヴァー21)など。

教えてくれたのは……人気ブロガーショコラさん
1956年生まれ。60歳から始めたブログがPV数ランキング上位になり話題に。著書に『58歳から日々を大切に小さく暮らす』(すばる舎)『65歳から心ゆたかに暮らすために大切なこと』(マガジンハウス)がある。
ブログ「60代一人暮らし たいせつにしたいこと」URL:https://lee3900777.muragon.com/

《取材・構成/志賀桂子》