テレビデビュー作となった、朝の連続テレビ小説『ノンちゃんの夢』(NHK)のヒロイン役でブレイク。そして長寿ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)では、岡倉家の五女・長子役で“国民的娘”となった藤田朋子さん。女優として妻として、女性としての生き方について話をうかがうインタビューの後編は、“ひとりの女性・桑山朋子”の生き方〜結婚、これからの夫婦のあり方ついて〜をお届けする。

*前編『藤田朋子、コロナ病床であふれた“涙”と女優人生の忘れられない“出会い”』はこちら

 年を重ねるごとに輝きを増す人がいる。自分のやりがいや目標を持って、自分の気持ちに素直に生きている人。藤田さんもそのひとり。

 インスタ、YouTube、TikTok、アメブロ、LINEなどSNSを使いこなし、インスタライブやTikTokライブではファンの方たちとの交流を楽しみ、日々の生活を紹介してくれている。そこでも、藤田さんの人柄が垣間見られてほっこりとさせられる。

 でも、若い頃の藤田さんは、がむしゃらに仕事だけに目を向けてわき目もふらず突っ走ってきた。そんな藤田さんが「結婚して肩の力がスーッと抜けた感じがした」と語るのは、現在、夫でアコーディオン奏者の桑山哲也さんとの出会いだ。

よきパートナーをくださいとお願いしたら

──(前編で)仕事での大切な出会いは奈良橋陽子さんと石井ふく子先生の名前を挙げてくださいましたが、プライベートではご主人の桑山哲也さんとの出会いがとても大きかったのではないですか?

「そうですね。私たちが結婚したのは、2005年の私が40歳を迎える少し前でした。でも私、ずっと結婚はしないと思っていたんです。桑山に出会う2001年のお正月までは(笑)

──ご主人は、まさに運命の人ですね。

「私、クリスチャンなんですけど2001年のお正月に教会の礼拝に行ったとき、小学生の頃から親しくしてくださっている先生がいらして、『結婚しないの?』って聞かれたんです。それで私は、『両親が健康で仕事もあって、屋根も壁もある家に住めているので、これ以上何かを望むなんて罪です』って答えたんですね(笑)。

 そうしたら先生から、『何を言ってるの!? 1人より2人がいいって聖書に書いてあるわよ』って言われて、ハッとして。それからお祈りの仕方を変えてみたんです

──どんなふうに?

「それまでの私は、お祈りの最後に『できれば私によきパートナーをください』って唱えてたんですね。そうしたら先生に、『できれば、なんてやめなさい。あなたが誰かに頼むときに、できないかもしれないけどお願いするわって言われて気分いい? 神様だって“できれば”なんて言われたらイヤですよ』と言われて。

 それで翌日から『私によきパートナーをください』って改めたら、なんと2月に桑山と出会ったんですよね。ただ、“この人は私の運命の人!”っていう稲妻が走るようなことはなかったけど(笑)

──4年の交際を経てのゴールインですね。

「そのときのエピソードがあって。結婚指輪を買おうということになったんですけど、一緒に行くとマスコミにバレてしまうので、私のヘアメイクをずっとしてくれている女性のスタッフと私がまず宝石店へ行って、気に入った指輪のサイズを見て、次に桑山とその女性スタッフが宝石店に行って指輪を購入しました(笑)

──そんな裏話があったんですね(笑)。結婚をされた当初は、芸能界のお仕事を続けていくつもりでしたか?

「引退してもいいかなと思っていました。働かない自分も大好きというか、主婦業も自分に向いていたのか楽しかったんです。もちろんお芝居は大好きですし、やりたいことだけど、桑山と結婚して、がむしゃら感が減ったんですよね。

 20代、30代の頃は、あれやりたいこれやりたい、ハリウッドにも行ってみたい、あのオーディションは絶対に受からなきゃっていう気持ちでずっとやってきました。でも、結婚したとたん急に肩の荷が降りた感じがして。『私からお芝居を取ったら生きていけない』という方の話も聞くけど、夫と暮らしいてる中で、私はお芝居をしなくても生きていけるってことに気づきました