なぜトラブルが起こるのか

 普通に暮らしているだけなのに、なぜこのようなトラブルが発生するのか。回避、解決できる方法はないのか。

 近隣トラブルの仲裁サポートや引っ越し前に近隣を調査する事業を展開する『グッドネイバー株式会社』の松尾大史代表取締役に聞いた。

「コロナ禍でリモート勤務などから家にいる時間が増えたこともあり、足音や話し声などの騒音に悩む相談が増えています」

 だが、当人同士で交渉し、方法を間違えると事態はもっとこじれ、解決は難しくなるという。

「騒音や迷惑駐車などの場合、迷惑な相手側に対して間に仲裁のプロや弁護士が入り、丁寧に説明をすれば穏便にすむケースも。周囲に迷惑をかけ続ける、いわゆる『DQN』な住民はごくわずかです」(前出の松尾さん、以下同)

 同社に寄せられる相談で多いのは、「隣から嫌がらせされた」「隣家の葉っぱが家に落ちてくる」などの困りごと。訴えてくる多くが70代のひとり暮らしの女性だというが……。

「実はこの手の相談者の多くが加齢や孤独な暮らしによって引き起こされる妄想状態の場合があるんです。被害者だと思っていた人が本当はトラブルメーカーとして近隣を悩ませていたり……」

 本人は妄想の自覚はないから周囲がいくら説得しても受診を拒んだり、自宅にこもっていてどんどん症状が悪化してしまうこともあるという。