実際に“五輪アレルギー”は広がっているのだろうか。2030年の冬季五輪・パラリンピックの招致を目指す札幌市スポーツ局招致推進部調整課に、東京五輪向けられている“中止論”の影響について聞くと、

「様々なご意見はいただいております。“招致すべきでない”というご意見から“やはり招致はすべきだ”という両面のご意見をいただいております」

 現在、2030年大会の招致活動は、開催に関心がある各国の都市が対応、調整している段階にあるという。札幌市も同様の立場にある一方で、2020大会の会場都市(マラソン・競歩)でもあることから現在はそちらに尽力しているようだ。

東京五輪を中止にできないわけ

 2019年6月、それまでは原則的に五輪開催地の決定は7年前としていたが、IOCは新たに決定の時期を設けない規定を設けた。これを受けてか、JOCの山下泰裕会長は2020年1月に「早ければ来年(2021年)に決まるかもしれない」として「(札幌大会の)チャンスはあるぞ、と思いました」と言及していた。

「同じく昨年1月には、秋元克弘札幌市長がバッハ会長と会談しています。また2018年にもJOCの竹田恒和会長と町田隆敏副市長が、2030年大会の招致を目標とすることを伝えにバッハ会長に会いにスイスのIOC本部を訪れています。JOCが札幌大会の招致にかなり力を入れていることは明確に伺えますね。

 昨年に大会が延期されたことで、また開催地の決定時期は流動的になったのかもしれませんが、菅首相をはじめとした政府、橋本会長ら組織委員会が頑なに五輪中止を拒む理由は、もしかしたら2030年大会の招致も関係しているのでは、と見てしまいますよ」(前出・全国紙記者)

 バッハ会長は6月中旬、そして7月23日の東京五輪開幕にも合わせて来日すると見られている。その際に、2030年に向けた会談は行われるのだろうか。

「(バッハ会長との面談は)ございません。(会長が札幌に来ることも)予定はございません。来日は2020年のためであって、基本的に2030年のことでこちら(札幌市)にいらっしゃるということは予定もないですし、今後も考えられません」(札幌市スポーツ局招致推進部調整課)

 果たして開催中止の選択肢は存在しているのだろうか。