<噂3>
アストラゼネカのワクチンは30代女性に血栓ができやすい

 アストラゼネカのワクチンは、今年の4月にヨーロッパで使用を中止したというニュースもあった。

「この噂はデマではありません。そもそも日本でもアストラゼネカのワクチンは承認されましたが、任意接種ということで、医者がよほど望まない限り打たないことになっています」

 そんな薬が承認されたということが驚きだが、木下先生はこう説明する。

「もともとワクチンは副反応がゼロということはありえません。アストラゼネカについては、10万回に1回くらいの確率で血栓症が起きる人がいる、ということがわかっています。パーセンテージでいうと0・001%。

 実際にコロナに感染すると血栓症はもっと高い確率で起こります。コロナで血栓症になるほうがよほど怖い、ということでイギリスでは使い続けています」

 なぜ30代の女性に多いのか、については、

「その理由はまだわかっていません。ヨーロッパで血栓症を確認できた19人のうち13人が女性で、ほとんどが50歳以下。30代が多かったのは事実です。なので、ドイツやイタリアでは60歳以上にしか使用しないことを決めていて、イギリスは40歳以上と定めています。血栓症が起きやすい年代を避ければ、10万分の1よりも確率を減らせますから。ワクチンを打つメリットとデメリットのバランスを考えながら、安全に接種しようということです」

<噂4>
ワクチンを接種した男性と性交渉をした女性は不妊症になる

「ワクチンを打つと女性が不妊になるという噂は、特に多く流れたデマなんです。この噂はそこから分かれた“変異種”だと思います」

 そのデマの出元はとんでもなかった。

「ファイザー社元副社長のマイケル・イードンという人です。会社を辞めてから“このワクチンの怖さをこっそり教えます”みたいな雰囲気で、動画で暴露したんです」

 ファイザーといえば、世界中で打たれているワクチンの製造元。元幹部が話す内容なら、信憑性が高いと感じてしまうのは当然といえる。

「彼は子宮の中で胎盤を形成するタンパク質と、ワクチンで作らせたコロナウイルスのスパイクタンパク質の構造が似ている、と言ったんです。なので、ワクチンで作られた抗体が胎盤を作るタンパク質も攻撃して壊してしまうので、不妊症になると主張しました」

 スパイクタンパク質とは、ウイルスが人間の細胞に取り入るときに使う部分。ワクチンにはその“設計図”が入っていて、体内で作らせた偽のスパイクタンパク質を免疫で攻撃させることで、抗体を作る仕組みだ。

「タンパク質の構造が似ていれば、免疫が働くことも考えられます。しかし、そこはちゃんと研究されていて、スパイクタンパク質と胎盤のタンパク質は似ている部分もありますが、違う部分のほうが多いんです。

 実際、抗体は胎盤のタンパク質を攻撃しません。まったくのデマです」