ライターは見た!

 パソコンはほとんど使えないという青木さん。本書も連載も、なんとLINEで執筆していると聞き、仰天した取材班。

「手書きだと時間がかかってしまうので、スマホでLINEのメモ機能を使って書きました。最後のころは熟練してきて、スクロールの指の感覚でざっくりとした文字数がつかめるように(笑)」

 もはや職人の域!? しかも本書の原稿は、ひと月ほどで書き上げてしまったという。

「右手の親指1本で文字を打ち込むので、指が痛くなって書けなくなってしまうことがありました。近所のお友達にそのことを話したら“手塚治虫先生と一緒じゃん!”って言われて高まりました」

 自分でも驚くほど筆が進んだという青木さんだが

「この本は、国語教師だった母が一緒に書いてくれたような気がします。学生のころには、母が書いた小論文でアナウンサー試験の面接まで進んだことがありますし(笑)」

 スムーズな執筆には、幼少期からの豊富な読書量も関係しているようだ。

「小さいころは毎週のように母が図書館から5冊の本を借りてくれて、例えば平岩弓枝さんの作品など子どもにしては難しい小説を読んでいました。それに、両親ともに本が好きで家には書庫があり、何千冊という蔵書がありましたから。暇があれば書庫にある大人向けの小説なども読んでいましたね。林真理子さんや吉本ばななさんの作品など、自分で買って読んだ本もたくさんあります」

 インタビュー中には、同じ小6の娘を持つ弊誌編集Yと娘談義で盛り上がる場面も。

「シャンプーや洗顔料は娘専用のものがあり、『使わないで!』と言われています。そのお金は私が出しているので『どういうことなの?』って思いますけど……。あと、テレビはほとんど見なくてもっぱらYouTubeですし、TikTokにも夢中です。どのあたりが面白いのかサッパリわからないのですが、娘も私のことを見て、同じようにわからないと思っているんでしょうね(苦笑)」

(取材・文/熊谷あづさ)

『母』(青木さやか著・中央公論新社)※記事中の写真をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします

 自分のことが嫌いだった主人公・青木さやかが実母との確執と和解、ギャンブル依存症、売れっ子芸人の苦悩などを綴った9割実話のエッセイ小説。「婦人公論.jp」で話題沸騰中の連載「47歳、おんな、今日のところは〇〇として」にオリジナル原稿を大幅に加筆。


青木さやか●1973年愛知県生まれ。大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントの道へ。「どこ見てんのよ! 」のネタでバラエティー番組で大ブレイク。そのほかドラマ、映画、舞台、エッセイの執筆など幅広く活躍中。