まさに「口は災いのもと」

●みんな聞いて!「知り合いの○○さんが転職」「△△さんの子どもが受験に失敗して浪人だって」などの情報を勝手に投稿したらダメ?

一般的に相手が隠したい情報を勝手に公開すると、プライバシーの侵害や名誉毀損が適用されます。その判断基準をふまえると、『浪人する』とか『あそこの旦那さんが不倫している』だとか、最近ですと『近所の○○さんがコロナ陽性だって』など、言われた人に不利益がある情報はアウト。逆に、ただ単に『転職した』という事実だけなら、不利益な内容にはならないのでセーフです」

 公開された内容によっては、賠償金を支払わねばならないこともあるんだとか。

「不利益を被る発言をされた側は、民事上の損害賠償請求が可能です。請求が認められた場合の賠償金は50万円前後からそれ以上になることが多く、何気ない発言が予想外の出費につながってしまうなんてこともあります。余談ですが、最近はSNSの投稿が不倫の証拠として使われたりもします」

 井戸端会議の感覚で発言していると、痛いしっぺ返しをくらう可能性アリ!

●偶然見かけた匿名アカウントが知っている人だった。仲良しだし、「○○さんですよね?」って名指しで話しかけても大丈夫でしょ?

「匿名アカウントに対して本名をさらすのはプライバシー侵害にあたります。特に、本人が隠したい“秘匿性の高い内容”を発言しているアカウントだと、さらにアウトです」

 隠したい内容って、例えばどういうもの?

「秘匿性の高い内容の例として、パパ活とか、人には言えない趣味のような、一般的にはオープンにしたくないことをやっているとか、同性愛をカミングアウトしていない人が同性愛交流用に使っているアカウントなどがこれにあたります。このほかにも、本人がバレたくないと思っている内容は、プライバシーの侵害になる可能性があります」

 投稿内容がフィクションの場合は、投稿した側から「単なる冗談」「誰も信じないから問題ない」といった話をされることもありますが、裁判ではそのような主張はほぼ通らないという。とにかく、余計なことは言わないに尽きる。

●“いいね”が欲しい! フォロワーを喜ばせるためなら、面白おかしく嘘の内容を投稿してもいいよね?

「意外かもしれませんが、SNSで嘘をつくこと自体は程度に関わらず、法律上は問題ありません。しかし、他の人や団体に被害や実害がある内容はアウト。事実と異なるのに『あそこの店が閉店したらしい』という嘘は名誉毀損に、実際はやっていないのに『激安キャンペーンやってるよ』という嘘は、業務妨害などにつながる可能性があります

 ただ、実際に罪に問われるかどうかの線引きは難しいんだとか。

「警察も忙しいので、違法なものを全部が全部、検挙するわけではありません。『だますつもりはなかった』と勘違いで通ってしまえば、あえて処罰まではしないということもあります。しかし、警察と違って、被害者が動けば、民事上の責任は取らないといけません。勘違いだったとしても、被害や実害があるような内容ですと責任は免れないでしょう。大前提として、ちゃんと考えてから発言してほしいなとは思いますね」

 “いいね”欲しさや承認欲求を満たすためだけの嘘は厳禁!