![『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』より/浅田アーサー](https://jprime.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/620mw/img_00c7e988ecf32eb867fe57d6da857dbe668173.jpg)
かつては「痴呆症」と呼ばれていた認知症。近年、発症のメカニズムや新薬の承認が話題に上っているが、いまだ特効薬はない。本人や家族は今も、さまざまな悩みに直面しているのが現状だ。
長年、認知症の予防やケアに携わってきた理学療法士の川畑智さんは、何よりも認知症の人の目には世界がどのように見えているかを、まわりが理解しようとしないことが問題だという。
「私はこれまで多くの認知症の方に接しながら、認知症の方はどんな気持ちでいるか、なんとか理解したいと考えてきました。そのなかで、認知症の方の目線に立てば、一見理解しがたい言動にも、その方なりの立派な理由があることがわかってきたのです」(川畑さん、以下同)
認知症の人の世界を、わかりやすいマンガに
このような実体験をもとに、川畑さんが認知症の人の気持ちをわかりやすく紹介した著書が、『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』だ。
この著書で川畑さんが強調するのは、本人は自身の症状に大きな不安を感じていること、そしてまわりの人が、その不安に寄り添うことの大切さだ。
「本人の“不安”がまわりに受け入れられないと、“不満”が生じ、不満が続くと“不信”に変わります。さらに不信感がぬぐえないと、暴言や暴力など“不穏”な行動につながってしまうのです」
■認知症の症状は4つの段階を経て悪化していく!
(1)不安
「記憶が苦手になる」「何かがおかしい」
(2)不満
周囲の人に不安を理解してもらえない
(3)不信
周囲の人が信じられない
(4)不穏
介護への抵抗や暴言・暴力
![「家族やケアする人」のとまどいの現実 『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』より/浅田アーサー](https://jprime.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/400mw/img_8caa1478cb96704ee53366b3c1dbdd2b936710.jpg)
![「認知症の人」の不安と悲しみの現実 『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』より/浅田アーサー](https://jprime.ismcdn.jp/mwimgs/f/4/400mw/img_f417fffb7402382e93c29ddd8e8df9851126054.jpg)
小銭で膨れた財布は、認知症のサインかも?
例えば、マンガで挙げた買い物の例のように、レジの支払いに時間がかかっていたら、認知症のために、金額やおつりの計算がわからなくなっている可能性が。なんとかお札で払って、すませていることも多いという。
「もし家族の財布が小銭でパンパンになっていたら、お札で払い続けているせいかもしれない。数字が把握できなくなる失計算の症状は、認知症初期から見られることが多いので、パンパンの財布は、認知症に気づくサインのひとつなんです」
![財布が小銭でパンパンになっていたら、認知症の初期症状である失計算のサインかもしれない。『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』より/浅田アーサー](https://jprime.ismcdn.jp/mwimgs/a/5/200mw/img_a55d2a4a0380693af71049a5aca21351942570.jpg)
このようなときも、本人は不安を感じているはず。気づいても、計算力を試したり、買い物をやめさせたりせず、本人の自尊心を尊重することが大事だという。