アイドルへの憧れで無理なダイエットも

 さらにはユーチューブやインスタグラムなどのインフルエンサーやアイドルにも影響を受けているという。

「細くて可愛い同年代の女の子たちに影響されているのでしょう。それが子どもたちの標準になっています。その子と自分を比べてしまい、自分の体形を気にしてしまう」

 そしてやせるために徹底的に食べないことを選択する。

写真の少女は18歳。拒食症に苦しみ、体重は30キロに満たないという。生命維持にも支障をきたす状態だ

「うちを受診する中学生の女の子で1週間に数食しか食べない子もいました。水を飲むのもそのときだけ。ですが本人は病気だとは思っていない」

 では、長年続くとどのような影響が出るのだろうか。

「1つが病的な低身長。摂食障害になったことで性ホルモンが出ない。第二次性徴期が発来しないんです。身長の伸びが止まってしまいます」

 将来、重症の骨量減少、骨粗鬆症になるリスクも高まる。女子は無月経が長期間続けば不妊のリスクも高まることに。内臓機能も不調になり生命維持機能に支障をきたす。

 いちばん解決しなければならないのは心の問題だ。

「栄養療法で身体はよくなっても自己評価の低さからは抜けきれないんです。体重が減れば達成感は大きく、そのときは自分の評価が高くなる。そんな快感が忘れられず、食べられなくなってしまう」

 むちゃくちゃに食べて吐くを繰り返す過食症に移行する拒食症の当事者も少なくない。そうなると治療に抵抗して経過が長くなり、回復するのはさらに難しくなっていく。

 それ以上に深刻なのは自ら命を絶ってしまうことだ。

「摂食障害はうつ病に次いで自殺率が高い病気なんです」

 食べ物や体重のことで頭はいっぱいになり、他人に劣等感を覚え、希死念慮を強く抱く。やせることにとらわれ、食事をしなくなれば衰弱していくばかりだ。

「“慢性的な自殺”と表現する専門家もいます。摂食障害はゆっくりと自ら命を削っていくような状態なんです」

 コロナ禍で増えた10代の自殺問題もその背景に摂食障害の増加もあるのでは、と専門家らは危惧している。

「小児期の摂食障害は大人に比べて完治する可能性が高いんです。早期発見、早期治療が肝心です」

 では大人はどうやって気づけばいいのだろうか。

「最近の子どもは習い事をしているケースが多く、家族とご飯を食べる機会が少ない傾向にあり気づくのが遅れる。毎日は無理でも週何回かはお子さんと楽しく食べてほしい」

 夏休み明け、さらに患者が増えることを危惧している。

「子どもがダイエットを考えているなら正しく親の管理下でやってほしい。そして積極的に子どもに関わってください。それが予防になり、早期に発見できます。子どもたちを孤立させないことです」