今度は黙って会話を聞いていたスキンヘッドの男性(Cさん)が口を開いた。

「でもよぉ、週刊誌さんは最近、何を追っかけてんだ。安倍元首相のことは取材しないのか。検察の黒川とか、俺はもともと麻雀仲間だよ。よく一緒に卓を囲んだ」

 黒川とは元検事長の黒川弘務氏のことだろう。本当かどうかはわからないが、ほかにも黒川氏が連れてきた部下たちとも麻雀をしたという。一体何をしていた人なのか――。

ホームレスたちの“本音”

「俺はこの生活をして3年ぐらいだ。以前は建設会社を経営してたんだよ。わりと裕福な生活をしてたんだけどな、ただまぁ会社を潰すことになって……。あのとき死んどけばよかったなってよく思うよ。保険金も出たし、家族に迷惑をかけずにすんだ……。でもね、死ねなかったんだよ。死ぬ勇気がなかった」(Cさん)

 淡々と語っているが、当時のことを思い出し、悔やんでいるように見えた。家族とは、会ってないのか。

「娘がふたりいるんだけど、今は28歳と32歳。たまに会ってるよ。一緒にカラオケに行ったりね。“お父さん一緒に住もう”って言ってくれるけどな……」(Cさん)

 それでも、家族とは一緒に住めないという。

「負担になるだろう。俺を抱える責任を、娘たちに押し付けられない。ホームレスをやってるような俺にも、心配してくれる人はいるけれど、やっぱり迷惑はかけられないから。娘には、自分の人生を大切にしろって言ってるよ。悪い男につかまったときと、困ったときは連絡しろって。こんな状態だから、あんまり力にはなれないけれど(笑)」(Cさん)

 横で聞いていたAさんが再び口を挟む。

「そもそも、俺はこんな状態になっているって新潟にいる兄貴や、北海道にいる姉貴に言えねぇよ。家族もいて、子どももいるんだから」

 生活保護という選択もあるはずだが……。

「確かに月15万円もらったら、楽だと思う。でも、俺みたいな人間が国の世話になんて、とてもなれない。死ぬこともできないし、だったら、どう生きようかって考えてこの生活をしてるのよ。なにより縛られるってのは向いてない。金を稼ぐのも楽ではないし、高校生に殴られて骨を折ったことだってあったけど、自由がいいのよ」(Cさん)

 では、DaiGoが“ホームレスは必要ない”“命は平等じゃない”と発言したことについては、どう思うのか。この発言を知らなかった彼らに説明すると、

「そんなこと言われたって、ホームレスはいるんだからなぁ……」

 とAさん。Cさんは、

「税金も払ってないし、俺たちは“人間”じゃないのかもなぁ。犯罪行為で金を稼ぐ暴力団や半グレと一緒さ。空き缶を盗んでいるんだから。背負う罪の重さは違うけど、そう言われても、しょうがない気はするけどな」

 としたうえで、こう続ける。

「迷惑はかけていないとは言わない。だけど、必要ないって、死んだほうがいいってことだろ。誰かにそこまで言われる筋合いはないよ。死んだほうがいいなんてことは、自分が一番わかっていること。だからこういう生活をしているんだから」(Cさん)

 そう話すと、河川敷を見つめ、手にしたワンカップをぐびりとあおった――。

 それぞれの事情を抱えているホームレスたち。自称“月収9億円”のDaiGoでも、彼らをバッサリ切り捨てる権利なんてないのだ。